第7章 巌窟王
「よし、アレなるが最後の一騎だ!」
「うん……!」
私を屋上に残したまま、アヴェンジャーは屋上から飛び降りた。
アヴェンジャーは、上空からランスロットもどきへ狙いをつける。ランスロットもどきは、アヴェンジャーの接近に気付き、回避しようとする。
「逃すか!」
アヴェンジャーは、ランスロットもどきの退路を阻むようにして、その周囲へ黒炎を放った。回避を阻まれたランスロットもどきは、一気に進路を変更し、アヴェンジャーへ向かって行く。よく見れば、ランスロットもどきの体には、2本もの矢が突き刺さっていた。それにもう、ランスロットもどきの手には、どんな武器も握られていなかった。あれはもう、長くない――――私はそう直感した。
「―――――ハッ……」
アヴェンジャーは、その炎で、突進してくるランスロットもどきの体を絡め取った。ランスロットもどきは、じたばたと暴れてはいるが、暴れれば暴れるほど、炎はランスロットの霊基を蝕んでいくようだった。もしもこれが、本物のバーサーカー/ランスロットであったなら、相手がアヴェンジャーであったとしても、こうも容易く捕まることなど無かっただろう。
「消えろ。」
アヴェンジャーはそのまま炎の威力を強めた。燃え盛る、黒い炎。業火に焼かれる、ランスロットもどきの霊基。
「aaaaaaaaaaaaa―――――――!!?」
「gu、gaaaaaaaaaaa―――――――!!!!」
撒き散らされる、恐ろしい咆哮。しかしそれも、アヴェンジャーの炎が消えるのと同じくして、完全になくなった。
ランスロットもどきの霊基は、完全に消滅した。