第6章 信頼
「マスター、ひとつだけ、俺には策がある。」
アヴェンジャーは、たったひとりでシャドウ・サーヴァントもどきたちの攻撃を凌(しの)ぎながら、そう言い放った。この状況で、一体何、だなんて、そんなことはどうだっていい。私は、目の前にいるアヴェンジャーを信じる! 私にできることがあるならば、何だってする!!
「乗った! 私は何をすればいい!?」
策の内容も全くきかずに、返事をする。これまで通り、私の命はアヴェンジャーに預ける!
「クハハハハハ! そうでなくてはな!」
アヴェンジャーは、満足そうに笑った。
「ざっとで構わない。こやつらの『対魔力』を調べられるか? 生憎(あいにく)、俺は戦闘で手が塞がっていてな。」
「了解!」
私は、アヴェンジャーに言われた通り、敵のステータスの内、『対魔力』に該当する部分のみを、読み取っていく。全てのステータスを読み取るには時間が掛かってしまうけれど、『対魔力』だけならば、それほどの時間はかからない。アヴェンジャーが時間を稼いでくれているうちに、ステータスを看破する。多少の漏れ落ちはあるだろうけれど、ほとんどすべてのシャドウ・サーヴァントもどきを読み取れた……と思う。うん、間違いない。
「アヴェンジャー! 敵に、ほとんど『対魔力』は備わってない! かなり無防備!」
そう。シャドウ・サーヴァントもどきに、ほとんど『対魔力』らしい『対魔力』は備わっていなかった。元がセイバーのサーヴァントであっても、魔力に対抗できるスキルは、見つけられなかった。やはり、姿形(すがたかたち)のみ、サーヴァントのように見せているだけで、その能力のすべてを再現できているとは到底言えない存在のようだ。