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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第6章 信頼



「あ……。」
 シャドウ・サーヴァントもどきが、一斉にこちらを見る。黒い靄(もや)のようなものを纏っているクセに、その瞳だけは靄の中ですら、ぬらぬらと、不気味に光っている。
 私の体に駆け巡ったのは、もはや疑いようのない、圧倒的な死の予感のみだった。

 アサシン/ジャック・ザ・リッパーもどきが、凄まじい速度で此方に斬りかかる。
「―――――チッ!」
 アヴェンジャーは私の手を離し、それを迎撃する。アヴェンジャーの一撃は、確かにジャックもどきの刃を防いだが、ジャックもどきにはほとんどダメージが入っている様子が無い。確かに、このシャドウ・サーヴァントもどきは、戦闘に充分耐えられるだけの能力が備わっている。アヴェンジャーの様子を見ても、今の一撃は決して軽いものではなかったことが窺(うかが)い知れる。迎撃ついでに、アヴェンジャーは黒炎のビームを数発、ジャックもどきに当てようとしたが、それらは全て、軽い跳躍で回避された。その動きが、知性によるものなのか、本能的なものなのかは不明だが、とにかく簡単に倒せる相手ではないということだけは分かった。これが、30体近くもいるのだ。一時退却しようにも、このシャドウ・サーヴァントもどきは、恐らくどこまでだって、私を追いかけてくる。そんな確信だけが、私の頭にべったりと張り付いている。それに、仮に一時退却ができたとしても、カルデアから兵力を補充するなどといった、有効な手が打てるわけでもない。

……、悔しい。今度こそ、私がアヴェンジャーを護りたかったのに……! アヴェンジャーの信頼に、応えたかったのに……! こんなところで、終わりたくなんて、ないのに……!

――――キィン! キィン!

 そんなことを考えているうちにも、私を目がけて光弾が飛んでくる。
「させるか!」
 それを、アヴェンジャーが、ギリギリのところで撃ち落とす。
「……。」
 どうやら、敵とそれなりに距離があるからといって、油断などは全くできないようだ。

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