第4章 誓い
「……!?」
そのまま、右手を引かれる。私の体は必然的に、アヴェンジャーに引き寄せられるような形になる。
「ぁ……。」
私の右頬に、アヴェンジャーの顔が寄せられた。髪の毛が当たって、少しくすぐったいなぁなんて思えたのは、ほんの一瞬だった。次の瞬間には、私の頬に、アヴェンジャーの唇が触れていた。
「ちょ、……、な……!?」
静かにしていろと言われていても、これには言葉を発さずにはいられない。
「なにを、し、て……ッ!?」
頬にアヴェンジャーの唇を感じていながら、これ以上黙っているなんて、私には無理だった。
「……、はぁ。色気の欠片も無いな。まぁ、仕方あるまい。」
アヴェンジャーは、何故か少し呆れたように、そう口にした。
「お前はただ、抵抗するな。力を抜け。俺になされるがままに、だ。……怖いのならば、目でも瞑っておけ。」
そう言って、アヴェンジャーは私の耳元に、口付けをひとつ、落とした。
さすがに、抵抗せずにされるがままにさせろと言わた上に、怖いなら目を瞑れなんて物騒なことを言われて、私は一体、どうすればいいの!?
「ちょ、何するの!? せめて教えて!?」
「……ハァ。 案ずるな。ただのキスだ、キス。口付けだ。流石にその程度の事は、知っているだろう。」
アヴェンジャーは、半ば呆れながら、そう答えた。
「た、ただの、って……。」
私に、そうそうキスの経験なんてあるわけもない。ましてや、その。気になっている人との、キスなんて、尚更だ。
「ん? あぁ、経験が乏しいのか? 構わん。お前はただ、受け容れていればそれで済む。」
アヴェンジャーは事も無げにそう言ったが、私としてはそんなわけにもいかない。