第4章 誓い
「はぐらかさないで!」
アヴェンジャーに向けて、強く言い放つ。流石にこれ以上は良くないと判断したのか、アヴェンジャーは、やっと私と目を合わせてくれた。
「私が、半人前の魔術師だから、魔力が足りないって、ちゃんと言えばいい!」
そうだ。これは、アヴェンジャーの問題じゃない。私が魔術師として足りないから、アヴェンジャーに不自由な思いをさせているんだ。だから。
「通常戦闘ならば、問題無いと言っているだろう。」
アヴェンジャーは、また同じ回答を口にした。でも、それで引き下がる私じゃない。
「じゃあ、連続戦闘は? 宝具の真名開放は? できる?」
「…………。」
アヴェンジャーは何も答えずに、眉を顰(ひそ)めて、私を睨んだ。
「……ほら、できないんでしょ?」
「…………。」
やっぱり、そうだ。
「何も言わなくていいから、残りの魔力量だけでも、私に調べさせて。さっきから、拒否してるでしょう?」
「……、いや。そんなことは……。―――――――あぁ、そういう事か……。いや、しかし……。」
アヴェンジャーは、何かに気付いたような顔をして、目を伏せた。
意味が分からない。
「私に分かるように、説明して!」
私は、アヴェンジャーに迫った。
「…………。」
「アヴェンジャー!」
私の必死さに、とうとうアヴェンジャーも観念したらしい。
「俺の魔力残量は、お前との契約を維持することも困難な水準ということだ。」
「え……。」
「我らサーヴァントは、マスターからの魔力によって霊基を維持し、活動する。何、簡単な話だ。俺の残り魔力が、もはや契約続行すら困難な水準まで低下しているという話だ。」
それは、おかしい。
「でも、待って!? 私の、私の魔力は、まだそれなりに残ってるよ!?」
そう。礼装にセットされているスキルなど、ひとつだって使っていない。それに、自分の魔術回路に流れる魔力を、私は今、確かに感じている。決して多いとは言えないが、少なすぎるとは言えないはずだ。
「……宝具を展開する際、一気に魔力を使い過ぎたことが原因だろう。」
「――――――っ……!」
それじゃあ、原因は私にある。私が、戦略的にミスをしてしまったから。結果として、アヴェンジャーに負荷をかけるようなことに、なってしまった。