第3章 憎悪
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「まずは何処へ行くのだ?」
端末を起動して、マップを展開する。以前レイシフトしたときのデータがあるから、最低限の地図ぐらいは、手元に残っている。
「えっと……。ここから少し進んだところに、大きな橋があったはず。それが『未確認座標X-C』。そこから、爆発したような痕跡のある『未確認座標X-B』と、港のある『未確認座標X-D』に分岐するかな。」
大橋を渡ろうと足を進めたところで、見慣れた骸骨がお出迎えしてくれているのが見えた。敵影、確認できるだけで5体。他に隠れている気配は無い。
「……いけるね?」
私が口を開いた時には、アヴェンジャーは既に私の横にはいなかった。
高速で間合いを詰め、数体の敵を一撃のもとに粉砕していた。アヴェンジャーの暴威によって、文字通り粉々に砕けた骸骨。ここまで粉々に砕かれては、もはや二度と再び動くことはできないだろうというぐらいの、苛烈な粉砕っぷりだった。
「終わったぞ。」
アヴェンジャーは外套を翻(ひるがえ)して、私の近くに戻ってきた。
「ありがとう。港まで、この調子でいこう。」
その後も、橋の上で数回ほど戦闘になったが、出てくるのは骸骨ばかりで、アヴェンジャーの敵ではなかった。どう見ても、アヴェンジャーの圧勝だった。軽く攻撃をしただけで、骸骨は全員、一瞬で粉砕されるか、灰になるかのどちらかだった。礼装でサポートできるように準備はしていたのだが、その必要性など微塵(みじん)も感じなかった。というか、私が何かをしようとする前に、決着はついてしまっていた。アヴェンジャーは、やはり強いのだと、改めて思い知らされた。