• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第17章 第3部 Ⅲ ※R-18



 アヴェンンジャーと私は、誰にも見つからないよう注意を払いながら、その場を離れた。遊郭内の個室へと戻る。
「アヴェンジャー、腕……。」
 先ほど、男に噛み付かれた箇所から、血が出ている。その血は、和服を赤黒く染めていた。私は、和服の袖を捲り上げた。そこには、生々しい噛み跡が残っていた。いつもならば、礼装にセットされたスキルを使って、サーヴァントの治療ができる。しかし、今はそれが出来ない。私は、治癒魔術はおろか、魔術らしい魔術なんてほとんどできない。礼装やカルデアからのバックアップがあって、やっとそれらしいことができるだけだ。その事実を、今になって思い知らされる。悔しくて歯噛みするけれど、何もできないという事実は変わらない。
「この程度、問題無い。」
 アヴェンジャーは、そう言い切って、傷口にもう一方の手を当てた。そこから鈍い光が漏れたかと思うと、アヴェンジャーはその手を傷口から離した。傷は跡形もなく消えていた。サーヴァントの肉体は、エーテルによって構成される。つまり、多少の傷であれば魔力で修復可能なのだ。着物は、シミになるので、それだけは洗濯をすることにした。アヴェンジャーの着物を水洗いしながら、私は不甲斐無い気持ちになっていた。本来なら、サーヴァントの傷を癒すのはマスターたる私の仕事だ。それなのに、私は汚れた着物を洗うことしかできない。どうしようもなく情けないけれど、自分に出来ることをするしかない。するしかないのだと、自分に言い聞かせる。





 その日は、遊郭のうち、大門に近いところを中心にして探索を行った。しかし、これという成果も出ないままに、終わってしまった。


/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp