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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第17章 第3部 Ⅲ ※R-18



「ア、アアア、お、お……!」
「ンン……?」
「オレ、ハ、た、ダ……。」
 ひゅーひゅーと、男の口元から呼吸の音が漏れる。そうだ、今はこの状況に集中しないと。

「アヴェンジャー、何か言ってる。首、緩めて。」
「承知した。」
「オンナ、を、タダで、抱け、レバ、なんでモするって、イッタ、ら……。」
 男の瞳は血走っており、とてもではないが、普通の様子ではない。
「う、ウウ……、若イ、オンナ、ァ……!」
 男性は、狂気に淀んだ目で私を視界に入れると、にわかに目を血走らせて、呼吸を荒げた。悪寒とも何とも言えない感覚が、背筋を駆けた。
「俺ハ、強ク、なっタンだ……!」
 その眼は、殆ど白目だった。気味が悪い。
「ほぅ? 協力者がいるのか? 誰だ?」
「ソレ、は――――――」
 男が次の言葉を紡ぎ出そうとした瞬間、バチン、と何かが爆ぜる音がして、男はそのままぐったりとなってしまった。
「な、何……?」
「死んだな。」
 アヴェンジャーは、男の首から手を離した。支えを失った男は、その場にぐしゃりと崩れた。その首元からは、大量の血が流れ出す。
「……?」
 血と共に、数センチの細長い物体が流れてきた。
「これは……。」
 あの新宿で見た、魔術髄液だった。どうして、こんなものが……?
「魔術髄液だな。成程、これで合点がいった。此処にいる人間のうち幾らかは、何者かによって魔術髄液を打ち込まれ、戦闘能力を強化されている、ということだ。」
「うん……。でも、なんで突然……。」
 この男性は死んでしまったのか。
「魔術的な呪いが施され、余計なことを口にした際に自動で生命が断たれるよう設定されていたか、或いは、何らかの手段によって、この男の行動が監視されているかのどちらかだな。兎に角、この場を離れるぞ、マスター。」
「うん。」
 アヴェンジャーは、その黒い炎で男の亡骸を灰燼とした。流れ落ちた血すら、蒸発させた。最初から、この倉には誰もいなかったかのように。

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