第1章 1
朱音side
銀八先生は不思議
あたしの黒い塊を
いつの間にか取ってくれる
教室に戻ると神楽たちが心配して集まってきてくれた
「朱音!大丈夫アルか?」
『うん!ごめんね、みんな。あたしは大丈夫だから!ほら、神楽も!そんな顔しないで?』
神楽が泣きそうな顔をしている
みんなも心配そうな表情をあたしに向ける
「朱音」
月夜先生があたしに向かって歩いてくる
あたしも月夜先生の元へ歩む
『あたしは先生のことを許したわけじゃありません。ですが…勝手なことばかり言ってごめんなさい』
「朱音…謝らなければいけないのはわっちの方じゃ。本当にすまぬことをし…」
『やめてください』
月夜先生の言葉を遮ると、先生は綺麗な眼を見開いていた
『もういいです。それよりも今度はちゃんと見ておいてください。もうあの頃のあたしとは違います。何より一人じゃない、ここにいるみんなが付いていてくれます』
あたしは振り返って神楽たち3Zのみんなを見回す
「…そうじゃな。ぬしの眼を見ていても分かる。ぬしは本当の強さを手に入れたんじゃな」
『…はい。月夜先生、一年間よろしくおねがいします』
深々と頭を下げる
今までの謝罪も込めて
頭を上げると涙を堪えているだろう月夜先生の表情がいつもより
綺麗に見えた
ここであることに気が付く
『あれ?晋助は?』
教室のどこを探しても晋助はいなかった
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