第8章 Happy birthday! ~サプライズバースデー~
鳥のさえずる声が何処からか聞こえてくる。
明るくなり始めたのが瞼の裏で感じる。
ゆっくりと目を開けると麗亞は褥に寝かされていた。
「ぅぅう・・ん。あれ? 昨日はどうしたっけ?」
皆が次々にお酌をしてくるのを飲んでいたら知らない間に意識がふつりと途切れていることに気づいた。
「やだ・・・私もしかして?!途中で寝ちゃったの?」
どんな格好で寝ていたのか想像すると恥しくて顔から火が出そうだ。
「変な格好してないかな?寝言とかいってないかな・・・。どうしよう。あの時たしか信長様の隣に座ってはいたんだけど。」
記憶のどこかしらにフワリとした浮遊感が有った。もしかするとその時に信長様に・・・?
そう思うと、申し訳なさ差で一杯になった。
部屋の障子を開け放つと、もう太陽が顔を出し始めていた。
目を閉じて深呼吸をする。
「信長様にお詫びに行かないとっ・・・。」
そう思った麗亞はすぐさま、身支度を整え。この時間なら早朝の軍議をしているであろう広間へと足を運んだ。
そーっと襖を開ける。
が、そこには誰もおらず駄駄広くて静寂に満ちた空間があるだけだった。
「あれ?今日は軍議ないのかな?もしかして昨日宴が有ったから?」
昨日は遅くまで宴をしているから、安土城に皆寝泊りしている筈・・とおもいつつ皆が居るであろう部屋へと急ぐ。
「秀吉さ・・・」
屋敷に帰らない時につかっている秀吉の部屋に行き襖を開けるが、やはりそこには誰もおらず。
「て・・・いうか? 城の中凄く静かなんだけど?どうして?あれ?朝餉は?そうだ・・。」
と、台所に行く。するとそこにも誰もおらず、何事が起ったのか全く呑み込めないでいた。
「ええええええええっ?どうして?どうしてっ?」
そう言いながらあちこちの部屋を開けて回るが人っ子一人居ない。安土城が見事に空なのだ。
「なんで?どうして? えつ?もしかして、ワームホールとかで私だけ違う時代に飛んだのかしら?私一人?」
何が何だかわからないまま麗亞は安土城下へと出かけた。
それを、城壁の陰で見ていた。
光「麗亞が動き出したぞ、次の作戦に移る。」
佐「解りました。」
物陰で控えていた佐助はすぐさま、姿を消した。