第6章 Happy birthday! ~絶対体絶命編~
麗亞は今日も城下の各武将の邸宅に文や頼まれ、出来上がった着物を届けて回っていた。
町1「麗亞様!!新しい甘味ができたんだが、味見をしていってくれませんか?」
「いいんですか?どんな甘味かなぁ・・・。」
顔を綻ばせながら店先の長椅子へ腰かける。運ばれてきたのは緑鮮やかな草団子であった。
「わぁ!! 草団子ですね。頂きます♪」
一口運ぶと口の中に広がる青いヨモギのような香り。
「ヨモギですか?これ、凄くおいしい!餡の甘さもそんなにくどくなくてなめらかで美味しいです!!」
町2「本当に麗亞様はおいしそうに食べますね。見てるこっちも食べずにはいられなくなる。」
常連のお客さんと和気あいあいに話お茶をしている麗亞を建物の陰から見ている人影があった。
?「ふんっ!何よ。あんなちやほやされて、それに何だか頭悪そうな呑気そうな女だわね。あんなのの何処が信長様が気に入っているのかわからないわ。」
ジリジリと嫉妬の炎が燃え上がり、殺気だって来る。
光「おいおい、そんな所で殺気立っていると、敵国の間者だとばれてしまうのじゃないか?」
後ろで声を掛けられてハッとする女。
?「お前は誰だ?」
光「そう言うお前こそ誰だ?ただ物ではないな。こんな所で人を殺しそうな顔をしているのだから。」
?「私は・・・静(せい)という。」
光「ほぅ・・静とな。私は秀(ひで)と呼んでもらおうか。しかし、なぜあの娘を気にするのか?」
それを聞いた静(せい)は憎々しげな顔で声を絞り出す。
静「あの女は私の邪魔になる女だ、あ奴が居なければ、私は私の思う人の妻になれるのだ。あんな女より私の方がいいにきまっておる。」
光「ほう、余程自信があるのだな。まぁ、女としての色気はあの娘よりはありそうだが。」
静「色気だけではない、女子としてのたしなみも十分備えておる!決してあんな冴えない女には負けない。でも、どうやってあ奴を!」
それを聞いた光秀はニヤリとほくそ笑んで小声で静に語り掛けた。
光「とりあえずあの娘に近づき、仲良くなればいいではないか。そして油断した頃合いに・・・」
ハッとした静は不敵な笑みを浮かべ呟いた。
静「それはいい考えだ・・・。待ってろよ・・・。お前良い事を・・・」
振り返った時には既に光秀の姿はなかった。