第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
-----春日山城-----
信玄の元にお抱えの忍び透破より情報が舞い込んだのはもう四月も残り数日という頃。
玄「幸~安土に行くぞ。」
急な信玄の発言に思わず嫌そうな顔をする幸村。
幸「ええ?なんでまた?」
玄「安土に南蛮の品々を売る珍しい行商が出るとの情報だ。」
それを聞いた幸村は更に眉間にしわを寄せた。
幸「相手方の戦の情報収集ならともかく・・・」
玄「まぁ、そう嫌な顔をするな幸。たまには違う土地を見て歩くのもいいだろう、それが織田軍のお膝元なら、色々な情報もでてくるだろう。」
すると急に信玄が黙ったかと思うと。後ろにかけておいた刀に手を掛ける。
幸「信玄様?」
はて?と首を傾げたその瞬間、信玄の目の前に黒い人影が降りて来て刀を信玄にむけて振り下ろした。部屋にキン・・・という音が響く。それを受け止めた信玄はニヤリとその人影に声をかける。
玄「おいおい、急に物騒じゃないか。怪我でもしたらどうするんだ?」
謙「ほう・・・お前がこれくらいで易々と怪我でもするようなら今この場で叩き斬ってくれるわ。」
一度交えた刀を離し、お互い構えの体制になる。
そこに更に上から黒い影が音もなく降りて来て間に入る。
佐「はいはい~そこまで~」
無表情ではあるが、軽い口調で子供を宥めすかすような声である。
謙「つまらぬのう。佐助。」
佐「謙信様、オイタはここで終了です。」
むすっとした顔で渋々刀を鞘に納める謙信。
幸「謙信様相変わらず突然切りかかってくるから危なくてしょうがねー。」
佐「すまない幸村。ここ最近、戦という文字すらないから、謙信様も退屈していて。だから天井裏ツアーをしていたんだけど、丁度信玄様のお部屋の上に来てしまって、声が聞こえた途端にこのように。」
涼しい顔をして謙信が続ける。
謙「なに、平和ボケして刀を振るう事を忘れてはいないか確認したまでだ。いざという時に使い物にならなくては困るからな。」
信「そんなに暇なら、私と安土へ行くか?」
謙「とうとう戦に行くのか!!」
喜々とした表情になる謙信
幸「それが、違うんですよ、安土に珍しい行商が来るのでそのお店を視察にお忍びで行くとか。」
それを聞いた途端にさっきまでの表情が無表情になる。
謙「つまらぬな。行商ごときでわざわざ安土くんだりまで出かけるお前の気がしれぬ。」