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イケメン戦国~捕らわれた心~

第9章 政宗の花嫁


涙ごと拭き取って
身体を清めていく

全身を隈無く清め
着物を着せてやる

その間も白雪は
泣き止む事がなかった

「泣くな白雪……」

胸に抱くと白雪の
身体が僅かに強張る

「っ…政宗…血の…匂い…する」

「…………」

「あの人達……斬った…の」

「お前が 知る必要はない」

嘘をつきたくなくて 口にした言葉は
肯定以外の何物でもなく
白雪はまた 新な涙を流す

「ごめっ…また…政宗…」

「白雪?」

「政宗に…人を斬らせ…ちゃっ
ごめっ…ごめんね…政宗」

「っ…」

白雪の為ならば 修羅だろうが
鬼だろうが 喜んでなってやる

だが その事で
白雪を泣かせるのが 堪らなかった

自分の事でなく 政宗の心を想い
清らかな涙を流す 白雪

これ程愛した女に 涙を流させる
己の不甲斐なさに 悔しさが込み上げる

「泣くな…護ったお前に泣かれちゃ
たつ手がない…頼むから」

苦しげに笑う政宗に
白雪は 何度も 何度も謝った

「もう大丈夫だから 何も心配ないから
頼むから…笑ってくれ
二度と 死のう何て思うな…」

「政宗が…自分のものに ならなくても
自分が 政宗のもので有ればいい
そう決めたのに……襲われて……
抵抗出来なくて………」

「このまま 汚されて……
政宗のものですら 居られなくなるなら
消えてしまいたかった……」

政宗は僅かに眼を見張る

「俺が……お前のものでないって…」

「来春 今日来ていた姫と
婚儀を交わすんでしょう……」

「っ…お前……」

(やはり気が付いてたのか…
何処かで耳にしたんだな)

「何故 俺に聞かない?」

白雪が悲しそうに 瞳を伏せた
それだけで 胸が締めつけられる

「っ…いや 言わなかった俺が悪い」

白雪を褥にそっと寝かせ
居住まいを正す

「すまなかった」

両手を付いて頭を下げる

「やめてっ…いいの…わかってる」

半身を起こした白雪が
傷だらけの顔で 儚く微笑む

「側室でも構わない 政宗の側にいたい」

「なっ…」

他の男に触られ 死を望み
自分の為に 手を汚させたと泣き
妻になれずとも 側で生きたいと微笑む

目の前の女はそんな女だった

思わず抱き締める
そうせずに居られなかった

「お前が愛しすぎて おかしくなりそうだ」

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