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イケメン戦国~捕らわれた心~

第9章 政宗の花嫁


城内へ戻るなり 血だらけの政宗と
大怪我を負った白雪に 騒然となる

御殿医を呼び付け 白雪を閨へ運ぶ

着替えを用意させ
その場で着物を脱ぎ捨てる

血だらけの着物を運ぶ
女中の手が ガタガタと震えていた

「失礼致します……」

震える声で 逃げるように離れていく
入れ替わりに 御殿医の足音が響いた

小走りに現れた御殿医が
白雪を見て ぎょっと眼を見開く

美しい顔は 半分が腫れ上がり
唇から血が流れ出て 固まっている

艶やかだった髪は
絡まり 土誇りにまみれていて

白く 細い首筋には
小さな刺し傷が認められた

包まれていた着物をのけて
身体を確認する

至るところに見える
紫色の痣

下腹部で御殿医の手が止まる
許可を乞う様に 政宗に視線を移す

「っ………俺が見る……」

白雪の足元に回る
片膝を立てさせ そっと外へ倒した

「傷はございませんか?」

「いや 特にない」

「では花を広げ目視で
中に傷がないかご確認を」

言われた通り確認する

「傷はない 男の欲の痕も無い」

「汚がされる前に
自ら死を 望まれたか……」

御殿医は溜め息をつくと
首の傷を処置する

「首の傷は浅く 身体も骨に異常なく
数週間で改善されると……」

「問題は心の傷でしょうか」

手桶で手を洗いながら
御殿医はそう呟いた

御殿医が部屋を後にすると
白雪の世話をと女中が
申し出るが丁寧に断る


誰にも触らせたくなかった


御殿医が触れた時でさえ
触れられた怒りに手が震えた

新しい着物と湯桶を用意させ
自分と白雪を清める

「白雪……」

硝子に触れる様に そっと触れる
濡らした手拭で 口元を 腕を
肩を 鎖骨を 順に清めていく

「……政宗」

囁くような 細い声で
白雪が名を口にした

「っ…白雪」

「……死ねな…かった…んだ…」

愛する女の 死を乞う様な言葉に
衝撃で動けなくなる

「死なせない」

絞り出した 言葉は
白雪と 自分自身に
言い聞かせる為のもの

「勝手に死ぬのは 許さない
俺の命は お前のもので
お前の命は 俺のものだって 言っただろ」

「っ…私っ…汚れ」

「てない 俺がそんな事
させるわけないだろ」

「その前に俺が拐ってきた」

何時もの様に笑ってやる
白雪の眼から大粒の涙が

ぼろぼろと溢れ
痣だらけの胸を濡らす
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