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イケメン戦国~捕らわれた心~

第8章 織姫の涙



「佐助君!どうしてっ?」

訳が分からず
混乱する白雪を余所に
佐助は飄々と歩み寄り
格子の鍵を開け手招きする

「さぁ 白雪さんこちらへ」

ちらと謙信を見ると
黙ったまま表情無く
佐助と白雪を見ている

白雪の視線に気付いた佐助が

「あぁ大丈夫
謙信様は決して女を斬らない」

佐助の言葉に
何となく安心した白雪
表情から硬さが消えた

「…うん 何となくそんな気はする」

そう告げた白雪に 一瞬驚き
思わず笑みが溢れた

「でしょう?
うちの上司はちょっと
困った人だけど 義理堅い人で
卑怯なやり方を嫌う」

謙信が佐助を睨んでいるが
佐助は気にする様子もない

佐助と謙信
二人を信じる事にして
差し出された 手を取る

牢を離れ 屋敷の一室で
白雪が煎れた茶を手に
三人は膝を付き合わせる

「……という訳で 重臣の一人が
勝手にしたことなんだ」

「神に誓って謙信様は関わっていない」

佐助の説明を聞き概要は分かった
問題はこれからどうするかだ

その時襖の向こうから
声が掛かり佐助が対応する
珍しく余裕のない顔で
謙信を振り返った

「伊達政宗が 精鋭部隊を
引き連れ 越後に入りました」

「……だろうな」

当然の事の様に言う謙信
対して白雪は狼狽する

「政宗…」

「ここが知れるのも時間の問題かと」

「……衝突は避けられまい」

「そんな…」

「白雪さん 大丈夫 何とかするから」

佐助が難しい顔で考え込む……

「何を考える事がある
真実を語りその上で
戦うというなら
真っ向勝負を受けるだけだ」

「と 言うことは謙信様から
刀を抜く事は無いと言うことですね」

してやったりと白雪を見る佐助

「…佐助くん…なんだか手慣れてるね」

「気にくわん…やはり斬るか」

謙信が刀を抜くや佐助が
軽やかに身を反転させ刃を躱す

「謙信様そろそろお時間です」

たった今
斬りかかられたというのに
全く意に介さず
謙信と言葉を交わそうとする
佐助に白雪は目を白黒させる

「女…何を一人で百面相している」

「っ…白雪です」

「何だと」

「し・ら・ゆ・き です!」

俄に信じられないという
顔付きで白雪を見る謙信
佐助が吹き出す

「謙信様 女呼ばわりは いけません」

「……戦まで出向くような女は
さすがに厚かましい…
この俺に名を呼べと申すか」
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