第6章 貴方に夢中~短編集~
左肘を付いて頬杖をつき
横向きに寝そべる
ふと思い付き声をかけた
「そうだな…折角だ 甘えさせて貰うか」
ぱぁっと顔を輝かせ政宗を覗き見る
畳に両手を付いてキラキラした瞳を
向けられ 悪戯心が頭をもたげる
「喉が渇いたな」
「お茶煎れるね!」
咄嗟に動き始める白雪に
水がいいと 茶碗の水を所望する
「はい……」
口元に茶碗を付けて待つ白雪が
動かない政宗に首をかしげる
「?」
「飲ませてくれ」
意地悪くニヤリと笑う
「だから……ここ」
政宗を誘導する様に
口元の茶碗に視線を移す
「口移せって言ってる」
「っ…!」
目を開き 頬を染めて
途方に暮れる白雪に
「冗談だ」
と敢えて右手を差し出せば
意を決した白雪が 水を口に含む
ゆっくりと口が重なり 薄く開いた唇から
白雪の体温を移した水が 政宗に注がれる
こくりと喉を鳴らした政宗が
「怪我の功名か」
白雪を見上げて不敵に笑った