第6章 貴方に夢中~短編集~
「っ…こらっ」
私の手から手拭いを奪い
私の頭を覆う様に被せた
「見えないよ」
「見なくていい」
「やっぱり照れてる政宗って可愛いね」
「いたた…ごめんなふぁい」
つねられた頬を擦る
「この刺繍…お前が?」
「あ…うん」
白雪の頭に
広げられた手拭いの隅に
白い桜に絡む青い龍の刺繍が
見事に仕上がっていた
花嫁のベールをあげる様に
ふわりと手拭いがあがり
白雪の唇にそっと口付ける
逞しい身体とかけ離れた
柔かな唇に 全身を熱が走る
「んんっ…」
「ありがとな…」
政宗の指が刺繍をなぞる
手拭い越しに透けて見える
政宗の眼差しに ときめきが止められない
「この刺繍の龍が俺なら…こいつの
側にある白い桜はお前だな」
「あ……うん ずっと…一緒に居られる様に」
想いを言葉にされ 頬が染まる
手拭いで見えないはずの赤い頬も
政宗はお見通しの気がして
さらに顔が熱くなる
恥ずかしさを誤魔化すように
政宗に手を伸ばす
硬い胸に指が触れた
「ずっと一緒だ ずっと側にいろ」
「…うん」
指が汗に濡れる そっと口に含んだ
「しよっぱい」
「…っ馬鹿」
唸るように短く言って
板の間に押し倒される
覆われた手拭いの口元だけを持ち上げて
永遠の愛を誓うように 口付けられる
政宗の肌から 煌めく汗が降り注ぎ
白雪の躯を濡らしていった