第5章 新たなる日々
くしゃっと
頭を撫でて立ち上がる
それでも
頬を染めた白雪が
寂しげに見上げてくる
(ふっ…まったく…)
腰を屈めて顔を近づけ
「…ん…あっ…」
何度か唇をついばむ
ぽぉっとする白雪に
「待ってろよ」
言い残して
にやけ顔のまま部屋を出た
握り飯と温め直した汁物
漬物を膳に載せ
ふと思い付き
秀吉が隠した信長用の金平糖を
数粒拝借して部屋に戻る
「おかえりなさい」
襖を開けると同時に
かかる声に苦笑する
「なに?どうしたの?」
「待ってましたと
言わんばかりだな」
「あ…」
想像通りに頬を染める白雪に
あえて素直に言葉をかける
「すげぇ可愛い」
「っ…もぅ…
さっ冷めちゃうから早く食べよっ」
誤魔化す様に言うと
椀に手を掛け
食べはじめる白雪
食べ始めて暫くすると
思い付いた様に口を開く
「奥州へ帰ったら
今度は私が美味しい物作るね
なんせ一年もあったから沢山覚えたの」
自信ありげに
微笑む白雪に微笑み返す
「楽しみにしてる」
「うん!」
嬉しそうに頷く白雪に
自然と手が伸びる…
近づく政宗の手に
自分の手を重ねると
頬を擦り寄せてはにかんだ
その仕草に
全身が熱を帯びる
親指で唇をなぞり
そのまま押し込む
咥えさせたまま
膳を押し退けた
「腹膨れたか?」
「…んん…」
指を咥えたまま
頬を上気させ
上目使いに政宗を見る
その隠微な表情に
ゴクリと唾を飲んだ
「お前…今
自分がどんな顔してるか
分かってるのか?」
政宗は指を咥えさせたまま
くるりと身を返して
白雪の後ろに廻る
そのまま顔を
引き上げる様にして固定した
「あれ…見ろよ」
固定された顔の
少し先に視線を延ばすと
白雪の鏡台がある
鏡に映るのは……
背後から抱きとめられ
顎を掴むように
押さえ込まれ
指を咥えた女の顔
「んふ…ふぅぅ…んぐっ」
言葉を許されず
更に奥まで指を押し込まれ
口元から銀糸が伝う
「…ふっ…やぁっ…」
差し込まれた
指の隙間から
やっと声を漏らす
震える程の羞恥に晒されるも
あまりの煽情的姿に目が離せない
鏡の中の自分に捕らわれた白雪の
耳をなぞるように舌が這う
「ふぁ…」