第5章 新たなる日々
「しかし…安土でも京でも
勉強になることが多かった
奥州に戻ったら早速いかさないとな
お前ら帰ったら忙しくなるぞ」
「はっ!我らにお任せ下さいっ!」
意気揚々と返事を返し
笑顔で目を輝かせる
家臣達を見ると
政宗も将として
誇らしく思う
白雪の温もりを
腕に感じながら
これからの日々に
希望を抱くと同時に
護るべきものの
大きさを実感する政宗
(まずは生産と物流の拡大…
災害に対しての対策も急務か
いまだ小競合いも多いし…
まずは軍の強化からするべきか…)
仕事は山とあるが
白雪が側にいれば
どんな事も成し遂げられる
不思議とそう思える
以前の自分なら
愛を知り強くなるなど
世迷言と笑うだろう
女に現を抜かすなど
うつけ者のすること
愛など足枷でしかない
一時の戯れを楽しみ
いずれは家と家を結ぶ為
力を拡大し世継ぎを得る為
どこぞの姫をもらい受ける
それでいいと
本気で思っていた
今なら浅はかだったと分かる
大志を叶える為なら
いつ死んでも構わないと
犠牲を払うのも仕方のない事と
考えていたあの時とはもう違う
本気で惚れたら
それは生きる力となる
愛する者の為なら
どんな事でも耐えられる
護る為に強くなれる
白雪がそう教えてくれた
穏やかな寝息を立てる
白雪を腕に抱き
改めて心に深く誓う
(お前の為
何があっても生き抜く
そしてどんな事からも
お前を護る護り抜く
俺の死場所はお前の隣だ)
思わず腕に力が入り
白雪が身動ぐ
「…ん…まさむ…ね」
「……愛してる」
そっと額に口付けると
幸せそうに微笑んで
ぎゅっと抱き付いてくる
吹き抜ける風から
守る様にそっと抱き締め
安土へと馬を走らせた
……数日の旅を終え安土へ入る
城下を抜けると門前で
秀吉達が出迎えた
「政宗様!白雪様!」
三成が嬉しそうな笑顔を見せ
秀吉は心配そうに馬上を見上げる
「秀吉さーん!三成くーん!」
呑気に名を呼び
手を降る白雪の顔を確認すると
秀吉もようやく笑顔を見せた
「無事か?白雪」
「ふふ…相変わらずだね秀吉さん 」
三成が政宗から手綱を預かり
ゆっくりと歩きだす
「政宗様の馬術は確かですが
なにぶん早駆けが過ぎますから」
「なんだ三成まで」