第20章 十月十日~(新たなる日々)
「政宗はやっぱり
…男の子がいい?」
不意に
腕の中の白雪が
政宗の頬に
手を伸ばし質問する
「ん?…あぁ…
べつにどちらでも
お前と赤子が
健やかなら俺はそれでいい」
細くしなやかな指先は
少し冷たくて
唇をなぞるその指に
自分の指を絡めた
「跡取りの
男の子が居ないと
困るんでしょう?」
小さな手を
覆うように捕まえて
指先に口付けを落とす
「10人も産めば
一人くらい男がいるだろ」
にやりと
口角をあげてそう言えば
驚いた様に
目を見開いた後で
ふっと顔を綻ばせる
「ふふっ…だね…頑張る」
「おう…産むのは任せた
その代わり仕込は任せろ」
白雪が声をたてて笑う
つられて政宗も笑った
顎を掬いながら
上を向かせると
仄かに上気した頬が美しい
潤んだ瞳が一心に
政宗を望んでいる
「嬉しいだろ?」
答えは待たずに
柔らかな唇を
思う存分味わう
このまま時が止まって
このまま二人きり
この空間に閉じ込められたら
そんな
決して現実にはならない願いを
望んでしまう程
幸福が胸に沸き上がって
止まらなかった