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イケメン戦国~捕らわれた心~

第19章  闇~秘密の寺(開門)~


「行動には結果が生ずる」


あくまで優しく
諭すように言葉を紡ぐ


「行動を起こした者が
その結果に責任を
負うのは当然の事だと
覚えておくといい」


「あ…」


そんな当たり前な事すら
考えられなかった自分に驚く


「首を差し出すか
腹を括ってここで生きるかだ」


光秀は浮かべた笑顔を
絶さぬまま


「ここの客人は
身分の在るものばかり
気に入られれば取り立てられ
屋敷に住まう事もある…
お前の友人はその機会を
掴む事に賭けたがな」


その言葉に
首を傾げる


「友…人…?」


「逢わせてやろう」


六畳間の奥の襖に
手をかけた光秀が


残酷な笑みを
広げて振り返る


「見物だな…お前の顔」


ゆっくりと
襖が開かれる


艷紅色の壁に囲まれ
贅を尽くした調度品と
美しい花々に飾られた一室


部屋の中央には
全裸の女が
吊るされていた


脇の下と膝裏の
二点に差し込まれた竹が


天上に設置された滑車から
麻紐で吊るされ


目の高さで
固定されている


女は後ろ手に縛られ
脚は左右に大きく広げらていた


形の変わる程
きつく縛られた胸は
小豆色に鬱血している


その異様な
光景に息を飲む


「っ……」


「夏野…挨拶するといい
お前のよく知る客人だぞ」


「?」


光秀の言葉と
目の前の光景を一致させる事が
出来ずに動けずにいるお松


項垂れた女の顔が
ゆっくりと光秀へ向けられる


虚ろな瞳
僅かに開いた唇は
てらてらと濡れて光る


恍惚に染まったその顔は
間違いなく恋い焦がれた
夏野その人


「なっ…‼」


お松は眼を見開き
呼吸さえ忘れ驚愕する


「ふっ…美しいだろう」


気が付けば光秀が
隣にしゃがみこみ
お松の顔色を伺っている


そんな光秀を
視界の端に認めても


お松は
視線を逃がす事が出来ずに


食い入るように
吊るされた夏野を見つめる


何年もの間
触れたいと望んだ肌が


目の前で
無防備に曝されている


麻縄が食い込む肌は
淡く色づき


呼吸は乱れ艷めいた
吐息を漏らす


手を伸ばせば
触れられそうな位置に


自分を惑わせた女が
ゆらゆらと揺れていた


「欲しければやろう」


その言葉に
ごくりと唾を飲んだのを
光秀は見逃さない
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