第5章 新たなる日々
白雪が現代より戻って四日後
信長達は政宗達より一足先に
安土へと戻る為出立する
政宗達もまた
白雪が戻った為
奥州へ戻る事となるが
準備や後始末の為
数日後に出立する運びとなった
見送りに来た二人に
秀吉が馬上から必ず
安土へ立ち寄るようにと釘を刺す
白雪は笑顔で一時の別れを告げ
遠ざかる一行を何時までも眺めていた
「…いっちゃったね」
「あぁ…寂しいか?」
「うーん秀吉さんのお説教も
光秀さんの意地悪も嫌だけど…
全くないとちょっと寂しいかも」
「ふっ…なんだそれ」
「欲張りかな?」
「………」
「政宗?」
(欲張りとは思わないが
お前の口から他の男の名を
聞きたくないな)
「ま・さ・む・ね!」
「ん?あぁ…なんだ?」
「もぉーー聞いてた?」
「…俺は……欲張りなんでな」
「え?なに何て言ったの?」
「……何でもない」
会話を遮るように
踵を返し歩き出す政宗を
慌てて追いかける白雪
自分の胸に
薄くかかった靄の意味を
知ること無くただ闇雲に
ざわつくつ心を誤魔化した
「……なぁ白雪これからの数日
俺は忙しくなる恐らく構ってやれない」
「うん分かってる…頑張ってね」
「せっかくの京都だ
呉服屋で流行りの
反物でも見たらどうだ?
これから必要な物だってあるだろう
一通り揃えておけよ」
「え?…いいの?」
「当たり前だろ 好きなだけ買えよ」
男気を魅せたくて
言葉にしてみたが
白雪のぱっと輝く表情を見れば
呉服屋ごと与えてやりたい気持ちになる
わくわくと目を輝かせる
白雪の頬を撫でると
ふにゃりと微笑み
政宗の心に穏やかさが戻る
自分の代わりに
家臣の中でも腕利きを
付ける事にし政務や
出立の準備に取り掛かる為
白雪を京都の屋敷に送り
政務へと向かった
慌ただしい時間を過ごし
やっと仕事を片付けたのは
それから三日後の午後だった
朝は日の出と共に出掛け
闇が深まりきると戻る
この三日間
まともに白雪と話していない
たったそれだけのことで
心には靄がかかり
つまらぬことで
苛立ちを覚える政宗
(独眼竜が聞いて呆れるな…
こんなことなら…いっそ側に
置いて政務を熟すべきか?)
「政宗!おかえりなさい!」