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イケメン戦国~捕らわれた心~

第17章 闇~秘密の寺~


「は…?白雪様を亡き者に…?
どうしてです?
私は側室に収まるか
実家より大きな武家に
嫁がせてもらうつもりで
追いかけて来ただけです」


気絶した後で裸にされ
気が付いた夏野は

所詮女の力では
敵いませんからと

無駄な抵抗はせず
光秀との睦事を
楽しむ狡猾さをも見せた

情事の後で
光秀がやんわりと問うと
褥の中で半身を起こし

はっきりとした口調で
話し出す


「あの夜の後で
お話をと思っていたら
直ぐに戦が始まって…期を逃し
やっとお戻りかと思えば
白雪様が表れて
政宗様は付きっきりで
それまでの様に
女中を相手になさらないし」


思い出したかのように
憮然とした表情で
捲し立てる様に話す夏野の姿に
光秀は面白そうに口角をあげる


「それどころか一年もの間
京の都へ行かれてお戻りにならず
戻ったと思ったら
白雪様を連れて奥州へ行くと言うし
しかもあの夜の事を
すっかり忘れたみたいに
何もなかった顔で…」


「それは面白くなかったであろう」


優しく肩を抱き
相槌を打つ光秀に


すっかり気を許して
身振り手振りをつけて
興奮した様子で話す


「そうなんですっ!
あんまり悔しいから
政宗様宛の手紙を
伊達家臣の部屋に忍ばせて…
何度か手紙を出して
私を思い出したら
おねだりするつもりでいたんです」


(側室に…か…成る程野心深い女だ)

光秀は聞き役に徹する為
黙って頷く


「そうしたら…政宗様と白雪様の
婚儀が決まって…そうこうしてる内に
奥州で白雪様付きの女中を
する話があって…政宗様…
きっと焦ると思って」


大きな目を一層見開いて
光秀の顔を正面に
見つめながら話す


「だって何も知らない新妻の前に
関係をもった女が
お付き女中として座るのよ?
普通なら青くなるじゃない?
なのに…
政宗様ったら私の顔を見ても
無反応で…思わず睨んでやったわ」


不服そうに顔をしかめて
話を続ける夏野


「婚儀が終わったら
政宗様を捕まえて
側室に据えてもらうか
条件のいい相手を
見つけて欲しいって
おねだりするつもりでいたのだけど……」


一気に言い終えて
頬に手を宛てて
溜息混じりに光秀を見上げる


「残念だが政宗は
側室は持たないそうだ」

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