• テキストサイズ

イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)


母が
広間に向かうと


「少し二人にしてくれるか」


政宗が
三成に向き直る


「では廊下で
お待ちしますね」


三成と家臣
女中達を廊下に残し


白雪と部屋に二人
向かい合う


行灯の揺らぐ
灯りの中で


白雪が
三つ指をついた


「不束者ですが…
宜しくお願い致します」


綿帽子が邪魔で
白雪の顔は見えない


緊張した顔で
いるのだろうと予測する


「…二度目だな」


「え?」


政宗の言葉に
顔を上げた白雪は


案の定
蒼白い顔をして


緊張から表情も
強張って見える


「…お前にそう言われたのは」


白雪の視線が
宙を揺らぎ


懸命に記憶を
手繰り寄せる


「あ…」


ぱっと目を見開き
ほっと表情を緩ませる


「思い出したか」


「本能寺に戻った日に…」


「俺の元へ帰ってきた時…」


同時に言って笑う


「うん…政宗の所へ
帰って来れた時」


「あの時は
お前を抱くのに夢中で
背中の龍にすら気付かなかった」


「っ…」


政宗の率直な物言いに
白雪が赤面して抗議する


染まる頬に政宗の
大きな手が伸びる


「やっと実現したな」


熱を持った頬を
長い指がなぞっていく


「これで晴れて
名実ともに夫婦だな」


政宗の最も好きな
ふにゃりとした笑顔が
白雪の顔を飾る


「うん」


「死ぬまで
俺のもんだから覚悟しろ」


ことさら偉そうに
白雪に告げる


白く小さな手が
頬にある大きな手を挟み
口元に引き寄せる


政宗の手のひらに
口付けを落とすと


精一杯すました顔をした
白雪が応えた


「死ぬまででいいの?
残念でした…死んでも
離れないんだから…
政宗こそ覚悟してね」



「…生意気」



ふっと笑みを溢し



こつんと額を合わせて



微笑み合う



そっと触れあうだけの
口付けを交わして



「いくか…」



「うん」



二人は手を取り
皆の待つ広間へ向かうべく
立ち上がる


「ずっとその顔でいろよ」


部屋を出る直前
耳に唇を近付けて囁く


「え?」


「呑気に笑ってる顔が一等好きだ」


さっと頬を染めた後
ぷぅっと膨らませる白雪


「もぉぉっ……呑気にが余計!」


「ふっ…言い返す
元気があるなら…もう大丈夫だな」
/ 284ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp