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イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)


政宗が部屋に戻ると
白雪が部屋を出ようとして

三成や女中達に
止められているところだった

「政宗!今光秀さんが来て
喜多が庭で毒蛇に噛まれたって‼」

「っ…あぁ…知ってる」

(光秀の奴もう言ったのか)

「どうして
教えてくれなかったの」

白雪が政宗に詰め寄り
細い腕が政宗の胸を何度も叩く

あまりに軽い拳を
身体ごと腕の中に囲う

「落ち着け…白雪」

政宗の言葉と胸で
落着きを取り戻した白雪が

そっと身体を離すと三成が
その手を取る

「白雪様の
御体を心配された政宗様と
喜多様ご本人による配慮です」

三成に手を引かれて
室内に戻された白雪に

政宗が慰める様に
優しく声を掛ける

「家康が治療してくれたし
今は小十郎が付いてる
喜多は大丈夫だ」

「本当に?」

「そんな事で嘘つくかよ」

白雪の頭を撫でながら
嘘という言葉に胸が軋む

「今夜はゆっくり
寝かせてやって
明日落ち着いた頃
二人で見舞いに行こう…な?」

暫く考えてから
白雪はこくんと頷いた

「婚儀のお手伝いは
私がさせて頂きますね」

三成が柔和な
微笑みを見せる

「さぁ…城中が白雪様をお待ちです
お仕度を致しましょう」

「喜多が大変な時に…」

「ご自分の為に
婚儀に影響が及んだと知ったら
その方が喜多様は悲しまれますよ」

「っ……そう…だね…うん」

何処までも優しく
だが有無を言わさぬ

説得力に満ちた
三成の言葉に
頷かざるを得ない白雪

青葉でも古株の女中と
安土から来た
白雪付きの女中達が

白雪と政宗の
婚礼衣装を整える

「じゃあ…
俺達はここで待ってる」

「そうですね…政宗様の方が
お仕度も早く済みますし…
ここでお待ちしてますね」

笑顔を向ける
政宗と三成に

白雪も遠慮がちに
微笑んで頷くと

女中達に手を引かれ
仕度に向かった

「…さて俺達も着替えるか
三成ここはいいから…
お前も晴着に着替えて来いよ」

「はい…ではお言葉に甘えて
…すぐ戻りますね」

「ふっ…俺は大丈夫だ
お前に守って貰わずともな」

「っ…すいません…
そんなつもりでは」

真面目な顔の三成に
思わず笑う政宗

「分かってる」

笑いながら
行けと促すように
ひらひらと手を振る

一瞬迷った様に
視線を揺らした後
一礼した三成が部屋を出た

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