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イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)



政宗の顔が怒りに歪む

嫁入り道具一式は
城の一室に保管されいた

城内に入れる者なら
隙を見て仕掛をする事は可能だ

「自分の城で婚儀の当日に
花嫁を狙われるとはな
平凡でない所が
お前らしいと言えばお前らしい」

口角を引き上げて
意地悪く笑う光秀を横目で睨みながら
手元の手紙をばさりと投げ捨てた

「お前にも
責任の一端はあるだろ」

「悪いと思うから
こうして協力しているだろう」

薄く笑いながら
畳の上に無造作に投げ出された
手紙を拾い上げる

「読むぞ」

「好きにしろ」

政宗は膝に肘を付き
頬杖をつくと溜息を溢す

「いいかげん
喜多の事も気が付くよな」

「……庭で蛇に
噛まれたとでも言っておけ
真実ばかりが良いとも限らん」

手紙に目を落としたまま
事も無げに言う光秀

「…嘘をつくのか」

政宗の瞳が曇る

「お前の替わりに
死にかけたと言うか?」

「馬鹿言うな…あいつが
どんなに気に病むか」

「なら嘘をつけ…
嘘とてつき通せばまた真実なり…だ」

「……」

「俺から言っておく…
回りにもそう言え」

「…悪い」

「俺にも責任がある
そう言ったのは…確かお前だろう
つまらん事で謝るな」

「そうだったな
今の言葉返してもらおう」

天邪鬼に反省を口にする光秀を
政宗は笑いながら受け入れる

「一度口から出た言葉は
二度と返らんと覚えておけ」

「そうだったか?」

「あぁ…この件は俺に任せろ」

光秀が
表情を変えぬまま言い放つ

「…お前に?」

政宗が
眉を寄せ光秀を見る

「この手紙暫く預からせろ」

返事を待たず
手紙を懐に仕舞うと
宴で会おうと告げて部屋を出た

「一度出た言葉は……か」

あぁ言ったからには
何か思い当たる事が
あるに違いないが

それを口にするような
男で無いことは承知している

政宗はもう
誰も居ない空間に向かって

「任せたぞ…」

と小さく呟いた




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