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イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)


「強くなったな…」

自らの弱さに
溜息の出る想いの中

信長から
発せられた言葉に驚く

「はっ?」

眉を寄せ信長を見る

「…なんの話しです?」

「貴様は逢う度…強さを増す」

好奇心に満ちた眼で
面白そうに政宗を眺める

「武士たるもの如何に忙しくとも
鍛練を怠る事はありません」

「強さとは戦いに有らず」

そう言って笑う信長に
政宗が眉を潜める

「分からんか?
…以前の貴様は

信念を貫く事に
固執する余り

自身を蔑ろにする
危うさがあった」


「そう言えば以前

未来の為に犠牲になるのは
将として当然の事…

殺すも
殺ろされるも覚悟の上
俺の死場は戦場だと

おっしやって
おられましたね」

信長の言葉を受けて
三成が記憶を手繰る


「っ…それは…否定しない」


「今はどうだ」


秀吉の問いに
政宗の瞳が揺れた


「…たとえ四肢を失おうと…
這いつくばってでも戻る

戦では死ねない


俺の命は


白雪のものだ…」


隣で白雪が息をのむ


「っ…政宗…」



政宗の
瞳に宿る熱を


移す様に
白雪の瞳が熱に潤む



「大義の為に死するより
誰かを護る為生きる方が
遥かに険しく困難だ…」

信長がゆっくりと
腕を伸ばし

東屋の壁に
背を預ける


「貴様は

生きる覚悟を

決めたのだろう」



顎をあげ振り返る様に
壁の外を仰ぎ見る



空は高く
澄みわたっていた


「それを強さと呼ばす何と呼ぶ」


信長の低い声が
高い空に吸い込まれていく


「……っ…」


言葉に詰まる政宗を
信長がにやりと笑う


(信長様には敵わないな…)


「……次にお逢いする時は
更に強い姿を…約束します」


信長に向い
吹っ切れた顔で
不敵に笑って見せる


(気弱になった
気がしたのは
死を恐れてるからじゃない…

自らの死で
白雪を護れなくなるのが
怖いんだ

ならば…
何があろうと生き抜く
白雪と共に生きる)


「当たり前だ…
我が娘をくれてやったのだ
弱ければ斬る…であろう?秀吉」


「はっ!御意」


「抜刀する間も与えず
返討にしてみせるさ」


政宗の澄んだ瞳に
迷いはなく


信長は愉快そうに
声をたてて笑った

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