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イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)


「その時は祝いに最高の
苗木を贈ってやろう」

「信長様…ふふっ
楽しみにしてますね」

「何を楽しみにするんだ?」

東屋の外から政宗が
ひょいと顔を出す

「政宗!」

みる間に白雪の顔に
笑みが溢れ

ぱっと華やぐ様に
明るさを増す


「ふっ…なんとも単純な奴だ」


信長が苦笑いを浮かべ


「白雪様は本当に
政宗様がお好きなのですね」


三成がにこにこと微笑む


「こうあからさまに
反応されると参るな…」


秀吉は困った様に
眉尻を下げて笑う


「…っ…ごめんなさい
そんなつもりじゃ…」


慌てて三人に向け
笑顔を作る


「なんだよ…その作り笑い」


政宗が喉の奥で
くくっと笑う


「白雪様の笑顔は
何時見ても
お美しいですが…
やはり
政宗様へ向けられる
笑顔は格別ですね」

三成が
にこにこと
政宗と白雪を交互に見る

「三成
分かってんじゃねぇか」

片眉をあげた政宗が
そう言いながら

愉快そうに
東屋に入って来た


「…貴様の取柄は
その素直さにあろう
作り笑いなど
無粋な真似は
貴様には似合わん」


立ち上がった信長が
白雪の頭に
ぽんと手を置き


諭すように
言いながら
席を移るよう促す


「貴様は
想いのままに生きろ
…この俺が許す」


少し顎をあげ
偉そうに笑う


白雪は
恥ずかしさと
嬉しさが入り雑じった
複雑な表情を見せたが

やがて満面の笑みを
浮かべて頷いた

幸福そうな
白雪の顔を見るにつけ

先程の一件が
嘘であったならと

思わずには
いられない男達


幾多の命を犠牲に
戦乱の世を
生き抜いたが故に


戦のない
平和な未来から
来たという白雪の

純粋で
穢れなき笑顔を

守ってやりたいと
心から願っていた


白雪の隣に
政宗が座ると

信長自ら二人の為に
茶を点てる



辺りは静寂に包まれた



東屋の回りには
女中達が控えており

白雪が城内で
男と二人になる事はなかった

それでも
あの一件以来

政宗と離れていると
空気が薄くなった様に
息苦しさを感じ

不快で不安な
気持ちに苛まれる

それは
政宗以外の男性
全てに対して表れ

安土で共に過ごした彼らに
申し訳なく情けなくもあり

その想いが増々不安を募り
自身を煽ってしまう

それが
こうして政宗が隣にいれば…
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