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イケメン戦国~捕らわれた心~

第16章 十月十日~(婚姻の儀)


翌日には喜多の弟でもある
重臣小十郎も青葉に到着し

宴のしたくも着々と進む

白雪は部屋で懐かしい
面々と向き合っていた

「この度は誠に
おめでとうございます」

「ありがとう…皆顔をあげて
お姫様って柄じゃないし」

白雪の元でお付きの女中となり
青葉で暮らす事に同意した
安土の女達十数人が畳に伏している

白雪の以前と変わらぬ態度に
笑顔で応える女達

針子仲間として
共に過ごした者もいれば
初めて顔を合わす者も何人かいた

「いい所ですね白雪様」

「うん…海も山もあって
人も優しくていい所だよ
けど…皆いいの?ここで
暮らす事になっても」

「勿論ですよ」

「また縫い物教えて下さいね」

「もし気が変わったら
遠慮なく言ってね…政宗に頼んで
安土へ帰れる様にしてもらうから」

「白雪様はお優しいですね」

少し低い
落ち着いた声の主を見る

初めて顔を合わす女中だった
細面でなかなかの美人だ

光秀が言うには
花嫁行列は見栄えが肝心で
輿の回りには特に美しい
男女を配するらしい

恐らく輿の回りを囲った
女中の一人であろう

そんな風に思いながら
白雪は声の主を見つめた

「初めまして…だよね?」

「はい…
ご挨拶が遅れました
夏野と申します
安土では余り
ご一緒しておりませんが…
よろしくお願い致します」

一度下げた頭をあげ
微笑む夏野

「こちらこそ
よろしくお願いしますね」

微笑み返し
視線を移すと

隣には人のよさそうな
笑顔を浮かべた女中

「あなたも…初めてよね」

白雪が続けて声をかける

「はい
松と申します…
お松とお呼び下さい」

「よろしくね」

ふっくらとした頬を
仄かに染め白雪より
少し若いであろう松は
嬉しそうに頷いた


「白雪いるか」

政宗の声がしたと思うと
襖が遠慮なく開かれる

「おっ…と」

なかを覗いた政宗が
眼を瞬かせる

突然表れた新しい主人に
女中達がさっとひれ伏した

「すまん…顔合せだったか」

悪びれる事なく
部屋に入り白雪の隣に座る

「皆分かってると思うが
これからは伊達家に
仕えてもらう事になる
ここの女中達は
片倉喜多が取り締まる
何か不都合があれば俺か喜多に
遠慮なく言ってくれ」

一人一人の顔を見て
言葉を掛ける

「ありがとうございます」

女中達が一斉に
恭しく頭を垂れた
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