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イケメン戦国~捕らわれた心~

第14章 ピックアップ御礼記念~真夏の戦国武将~


「白雪さん…そろそろ」

「あっ…うん」

「皆さん
暗くなってきましたので
あちらに火を灯しましょう」

夏と言えば
キャンプ

キャンプと言えば
キャンプファイアーだと
佐助が準備を進めていたのだ

六角形に組まれた
木枠の下から
火種をくべるべく

各々が位置につき
火種を手にもつ

信長と家康
謙信と佐助
信玄と幸村
秀吉と三成
政宗と白雪
正面に顕如が立つ

「準備はよいか?」

顕如の合図で皆が
火をくべる

パチパチと音をたて
紅の炎が立ち上がる

いつのまにか
互いを狙っていた
"保険部隊"も宴に加わり

多くの人々が
燃え上がる炎を
見つめる

ゆらゆらと
揺らぐ炎が白雪の
瞳に写る

政宗がそっと
白雪の手を取った
指を絡めて握り会う

「お盆ですし
共に祈りましょう」

白雪が皆に
視線を送った

顕如が静かに
祈りを捧げる

信長と謙信
信玄が同じように
眼を伏せ祈りを捧げた

他の皆もそれに倣う

明日になれば
また敵同士

せめてこの一時だけ…

誰もがそう願い
揺らぐ炎を無言で見つめる

舞い上がる炎と共に
各々の思いが
空高く立ち上り

闇に溶けていった


その後も宴は続き
夜も更けると
そこここに設営された
天幕で身体を休める

信玄と信長は
囲碁の勝負を楽しみ
秀吉は信長の側を離れず

佐助と三成
幸村は
戦術書について語り合い

光秀と謙信は酒を交わし

家康と顕如は
各々天幕で休む

白雪は政宗と共に
月明かりの元
浜辺を散歩していた

「昼前あんなに
身体を動かしたのに
疲れてないの?」

「…お前誰に向かって言ってる」

「…愚問でした」

「しかし…お前といると
本当に飽きないな」

政宗が可笑しそうに笑う

「敵同士で波乗りなんて
遊びをしたかと思ったら
次は両軍引くるめて宴をして
最後はあんなでかい炎をあげて…」

「500年後は
普通の事なんだもの」

「へぇ…随分呑気なんだな」

「政宗達の
お陰で平和だからね」

「じゃあ感謝してもらおうか」

いつものように偉そうに笑う

「ふふっ…感謝してるよ」

腰に手を回し引き寄せる

「態度で示せって
いつも言ってるだろ」

「っ…もぉ」

白雪は背伸びをして
唇を掠める様に口づける

「…足りないな」

「あっ」

二人の影が
月明かりの下で
一つに溶けていった
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