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イケメン戦国~捕らわれた心~

第14章 ピックアップ御礼記念~真夏の戦国武将~


腕で漕ぎながら
近寄ってきた佐助は
目の前の光景に
開いた口が塞がらない


「信じがたいが…事実なんだな
…信長様と謙信様が会話してる
…普通に…波乗りの会話してる」

「うん…政宗と幸村も
仲良く遊んでるし
家康さんと三成君も何だかんだで
二人協力して波乗りを分析中
秀吉さんは信長様に
張り付いてるね」

隣にならび白雪も
信じられない思いで見つめる

「現代人が見たら
卒倒する光景だな」

「ふふっ…見てるけどね」

「ははっ…俺らはもう
現代人じゃないでしょ」

「…そっか…そうだね…元現代人?」

「あはは…君は面白い事言うな
そうだね…俺達は元現代人かな」

佐助と白雪は久々に
現代の事を思い出す

「誰も信じないよね…
織田信長と上杉謙信が
サーフィンなんて」

白雪がぽつりと溢すと

「伊達政宗と真田幸村が
仲良く水の掛け合い
するなんて誰も想像しない」

珍しく佐助が笑う

「そう思うと
凄く貴重な現場で
貴重な体験をしてるな俺達」

「うん…せっかくなんだから
目一杯楽しもうね」

白雪が輝く笑顔を見せる

「あぁ…だが…政宗さんに
殺されそうだから俺は行く…」

「え?」

白雪が振り返ると
ライディングを決めた
政宗が何か叫んでいる

「佐助!白雪は
俺んだって言っただろ‼」

政宗が佐助を追い
波間に消えていった…


「さすが政宗様
もう修得なさったのですね!」

三成がキラキラと眼を輝かせる

「野性的勘が
妙に鋭いからなあの人」

家康が納得した様に応えた






真夏とはいえ
身体の冷えを感じ

浜辺に上がって
身体を温める事にした
白雪が浅瀬まて戻る

浮力を失った波乗り板を
もて余していると

「先に行け」

光秀の声と共に
急に手元が
軽くなる

「あ…光秀さん」

声の降る方を
仰ぎ見れば

いつも通り
薄い笑みを浮かべて
白雪を見下ろしている

「ありがとうございます」

微笑み礼を口にすると
白雪を挟むように
大きな影が現れた

「抜け駆けとは人が悪い
さあ…姫砂浜は足元が悪い…
手を取るといい」

信玄がにこやかに
白雪に向かい
大きな手を差し出す

「抜け駆けとは
人聞きな悪い…
織田家の姫に
忠義を示すのは
家臣として当然の事」

「ほぅ…
姫から目を離さんのは
家臣としての忠義からで
あったとは驚きだ」
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