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イケメン戦国~捕らわれた心~

第4章 隻眼の龍


「惚けんじゃねぇ…
茶に酒を混ぜたろ」


「ふっ…ばれたか」


「ばれたか…じゃねぇ」


「ったく…
宴の度飲ませようとするの
いい加減止めろ」


「お前が正気を失う姿ほど
面白いものはないからな」


さも愉快げに笑うと
ちらりと政宗を見やり


「正気を失うといえば
先程の白雪を見る
お前の顔も…見ものだったぞ」


「…うるせぇ…」


はぁ…と溜息をつく


「なんだお前らしくもない」


「あいつの言動は
予想がつかなくて参る」


「分かっていては
興が覚めるというもの…
分からぬからこそ
楽しめるというものだ」


そう言って静かに笑う
光秀の言葉にはっとする


(ふっ…俺らしくもない…か)


生きることを楽しめと
白雪を諭したのは
自分だと思い出す


「いつもお前に助けられるな」


憂いの晴れた顔で
光秀の盃に酒を満たす


「なんのことだ?」


「ふっ…まぁいい」


秀吉に呼ばれ
政宗が席を立つと
穏やかな笑みを浮かべ
その背中を見送る光秀


「素直じゃないですね」


横から声をかけられたが
政宗の背に視線を置いたまま
盃を空にして


「お前に言われるとは心外だな…家康」


と苦く笑った



宴が進む程
白雪の回りに笑い声の花が咲き
宴はこれ迄にないほど盛大になる


酔った家臣が裸踊りをする前に
帰れと秀吉に耳打ちされ
白雪をつれ出した


秀吉から夜道は危険だから
泊まらせるようにと
煩く言われている三成と
廊下で押し問答になる


「政宗が一緒だから大丈夫
心配してくれてありがとう
三成くんもちゃんと食べて
ちゃんと休んでね」


「お役に立てないばかりか
ご心配までかけるとは
情けない限りです
もっと精進せねばなりませんね」


三成が申し訳無さそうに
眉を下げ憂いの表情を作る


その時サッと襖が開いて
家康が廊下に出た


「家康様もお見送りですか?」


三成に笑顔を向けられ
不機嫌そうに答える


「…べつに 宴に飽きただけ」


一年前と少しも変わらぬ
いつものやりとりに
目頭が熱くなる
耐えきれず頬を涙が伝う


「!?」


家康と三成が驚くと同時に


「なんだお前ら
まだいた…白雪?
なに泣いてる!?お前ら何したっ」


広間から秀吉を先頭に
信長と光秀が出てくる

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