第14章 ピックアップ御礼記念~真夏の戦国武将~
こうして11人の男達と
白雪の夏休みが始まった
武将達は武器を取り上げられ
各々の刀や武器は
海辺の小屋に保管される
小屋に掛けた鍵は
紐に通し白雪の首に下げられた
「鍵をとるには天女の
谷間に手をやらんと届かんな」
「信玄様…」
溜息をつく幸村に
謙信が声を掛ける
「鶴姫なくとも信玄の首を
へし折る位は朝飯前だぞ」
「…あんなでも君主なんで」
「同情するぞ真田幸村」
顕如が哀れみを持って
幸村を眺める
「もしもの時は言え」
真剣な顔で謙信が言う
「俺も手伝う」
「ありがとう謙信様…佐助…」
「お前達は本当につれないなぁ」
そんな男達の肩に腕を回して
交流を図る信玄
「…あんななのに
戦は強いんですよね竹田信玄…」
少し離れた所で家康が
竹田上杉勢を観察する
「柔和な雰囲気で
油断させる作戦でしょうか」
「それならお前も
負けては居ないぞ」
光秀が三成の整った顔を眺めた
「ほんと…虫も殺さぬ顔して…」
三成の眉目秀麗な姿を
家康がちらと見やる
「思い付く作戦は誠に狡猾だ
頼もしいものよ…のう秀吉」
信長が砂浜に胡座をかき
隣に座した秀吉が扇子で扇ぐ
「はい!
三成は見目に添ぐわず
戦略家ですから」
「お褒めに預り光栄です」
「褒めてんのか?それ」
「お?おぉ」
政宗に問われ秀吉が
ぎこちなく頷いた
「で?趣向を凝らしたとは
どういうことだ白雪」
光秀が白雪の腕をとって
砂浜へ引き込む様に座らせる
「きゃっ…」
突然手を引かれ
体勢を崩した白雪を
政宗の腕が支える
「おいっ…気を付けろ」
光秀を睨む秀吉に
「大丈夫だ…秀吉
こいつには
俺が付いてるからな」
と回りを牽制するように
政宗が不敵な笑みを浮かべる
「…だそうだ…残念だな秀吉
白雪の面倒がみれなくて」
「っ…誰と懇ろになろうが
白雪の兄として」
「分かったから…
白雪に先を話させて」
家康に促された白雪が
佐助に視線を移す
それに気付いた佐助が
信玄に肩を抱かれ
仏頂面の幸村と
謙信を引き連れ
信長達の輪に加わった
白雪がコホンと
咳払いをして話し出す
「夏の遊びってことで
サーフィン…波乗りなんて
どうかなって…佐助君に
用意してもらったの」
佐助がこんもりと
盛り上がった布を翻すと
木製の笹型の板が現れた