第13章 十月十日
「そんな事ないだろ…
かりにそうだとして
お前と一緒になるのは
母上じゃない…この俺だ」
蕩けた顔が見たくて
もう一度白雪の唇に
口付けてから
格好けて言ってやる
「黙って俺に愛されてろ」
想像通りの蕩けた顔で
首肯く白雪に
愛しさが込み上げる
何度しても
止められない口付けを
雨のように降らせて
止まらない快感に
酔いしれ
止められない疼きに
戸惑う
「っ…政宗…お尻に…
なんか当たってる」
口付けを止めずに応える
「そうか?」
瞼に 頬に 耳に
「…硬いの…あるよ」
唇に 鼻に 首に
「なんだろうな?」
音をたて
「…しら…ない…」
舌を這わせ
「知らないのか?」
深めていく
「んっ…はぁ…しっ…らない」
深く 深く
「本当に?」
口付ける
「あっ…んっ…しらっ…なっ」
ぬるぬると
「欲しくないのか?」
舌先を合せれば
「っ……もっ…いじわっ…る」
耐えられなくなった
白雪が自ら腕を回してくる
「意地悪して下さいって
顔に書いてあるからな」
にやりと笑い
白雪の唇をペロリと舐める
「もぉっ…」
その時襖の向こうから
声が掛かる
「失礼します」
「んー?おぉ緋影か」
「はい」
「入れ」
白雪を
膝に乗せ抱いたまま
旅先で拾った
新米家臣を招き入れた
「失礼しまっ…」
固まる緋影に
赤面する白雪
二人の姿を
楽しみむように
眺めながら
先を促す
「どうした緋影」
「っ…あっあの…飛脚がっ」
あたふたと
視線をさ迷わせ
白雪を見ないように
努力しているらしい姿に
笑ってしまう政宗
「落ち着け…
誰からの知らせだ」
言われて手の中の書簡に
視線を落とすが…
「あっ…えっええと…」
「のぶ…なが?」
「信長様か?」
「…たぶん…」
泣きそうなほど
情けない顔で
政宗を仰ぎ見る
「見せてみろ…
あぁ…信長様からだ」
「読み書き…
上手く覚えられないの?」
白雪が
膝から降りて緋影に問う
「あの…ひらがなは
もう大丈夫なんですけど…
漢字がなかなか…」
そう言うと
背中を丸くして
小さくなった
「覚える事が山とあるからな…
ゆっくりでいい確実に覚えろ」
「っ…はいっ」