第13章 十月十日
「ふふっ…嬉しかったよ
政宗はいつも余裕綽々で
私ばっかり好きにさせられて…
そんなの悔しいもん」
はにかむ白雪の額をつつく
「っ…たく…そもそも
端から言ってたろ
お前を気に入ってるって」
「気紛れにでしょ~」
ぐにっと白雪の指が
政宗の頬に沈む
華奢な指を手ごとを拘束して
口元へずらし指を食む
「怖かったのかもな…」
「え?」
「お前に本気になって
夢中になる予感がしてたから
…気紛れと思って
接してないと怖かったんだ
お前に溺れそうで…」
敢えて素直に
想いを告げれば
瞬く間に白雪の
澄んだ瞳が潤み
視線が絡むと
隠しきれない情念が
互いを絡めとり縛りつける
「白雪」
「政宗…」
ただ名前を口にする
それだけで
胸に宿る想いが溢れ
自らの愛の重さに戸惑う
お互いにそれしか
言葉を持たない位に
何度も名前を
呼び合いながら
何度も何度も口付けを交わした
「んっ…んん…まさ…むね…」
溶けていく白雪と
まだ見ぬ我が子を腕に抱いて
怖いほどの
幸福に酔いしれる
「愛して…る」
「っ…俺の方が愛してる」
「ふふっ…負けず嫌い」
「…勝ち負けじゃない
本当の事を言ったまでだ」
「なら私の方が好きだよ」
「俺の方が愛してる」
「ふふふっ…」
「なんだよ」
白雪が政宗の胸元を
ぎゆっと握り締め
首元に顔を埋める
「いっぱい…好きって
言って貰っちゃった」
そう言うと
何時もの様に
ふにゃっと笑う
「っ…お前なぁ…」
白雪の身体を案じて
止まっていた手が
思わず再び動き出す
「可愛すぎるだろ…馬鹿」
耳元で唸るように囁いて
そっと組み敷いた
「優しくするから…いいか?」
白雪が驚いた様に
政宗を見上げる
「当たり前じゃない…
政宗の…なんだから」
白雪の以前より更に
細くなった腕が
政宗の首に回される
小さな唇が近付いて
柔らかく政宗の口を塞ぐ
「っ…こらっ…」
「大丈夫だよ…大好き」
「っ…」
着物の下で
はち切れそうな
政宗の自身に
白雪の手が触れる
「っ…おいっ」
「こんなになってる…
いつから我慢してたの?」
「…青い顔して
ゲェゲェしてんのに
そんな気になるかよ」
「今日は違うの?」
「自分から
誘っておいて何言ってる」
「誘ってないよ?」