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イケメン戦国~捕らわれた心~

第13章 十月十日


茹であげたうどんを
冷水で締め
鴨と茄子の温かい
出し汁を用意する

葱をぶつ切りにして
表面を炙り甘みを出す

出し汁に焼いた葱を
くわえて仕上げたものに
柚の皮を少し加えて
一味を添える

昆布の出汁で卵を溶き
焼き上げた後
巻きすで巻き上げて
形を整える

食べやすい様に
甘みを加えて仕上げた
だし巻き玉子だ

それぞれ予め
選らんておいた
食器に盛り付け
膳に美しく並べる

「…よし」

たすき掛けを
手早く外し
着物を整えてから
白雪の待つ部屋に持って行く

「白雪…待たせたな」

白雪は出書院の柱に
凭れるように身体を起こして
煎じた薬草の茶を飲んでいた

「政宗…わぁ」

にっこりと笑みを浮かべ
膳を覗く

「美味しそう…」

「食べれそうか?」

「うん」

その返事にほっとして
白雪の前に膳を置く

ふと横を見ると
漆塗りの高台器に

あけびが盛られている
喜多が先程用意した物だ

「食べなかったのか?」

「え?あぁ…あけび?
喜多が政宗が
食事の用意をしてるから
食後に食べるといいって」

「…そうか」

最初は白雪を値踏みする様に
扱ってた喜多が
今では大の白雪びいきで
心から白雪を案じ
想ってくれている

喜多が白雪に
付いて居てくれるお陰で
政宗も政務をこなすことが
出来ている

今や二人にとって
なくては成らない
懐刀となった

過去の戯れのせいで
喜多に入らぬ心配を
掛けてしまったと反省しきりだ

「ほら 口開けろ」

そんな事を考えながら
箸で卵焼きを小さくして
白雪の口に運ぶ

「うん…おいふぃ」

いつもの様にぱくぱく…
とはいかないが
ここ数日の中では
一番いい食べっぷりに
心底安堵した

うどんと卵焼きを
半分と少し…腹に収め

残す事を申し訳なさそうに
謝る白雪に

あけびを出してやる

「ほらこれならどうだ?
口のなかさっぱりするだろ」

「んん…甘い…」

「初めて食べた…
仄かに甘くて美味しいね」

「あけびを?
食べたことなかったのか?」

驚いて手元の実を見つめた

「皮も食べれるんだ
こっちは仄かに苦くて…
体調が良くなったら
作ってやるよ」

「本当?楽しみ」

嬉しそうに微笑む
白雪の髪を掬い口付ける

(こいつといると無意識に
こういうことしてるよな…
以前はどう女に触れていたっけな)
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