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イケメン戦国~捕らわれた心~

第12章 織田家の姫君


冴えざえと光る刃に
ゆらゆらと殺気を
立ち上らせ
冷笑を浮かべる政宗

「だっ…伊達殿
違うっ違うんだ
あまりに美しい姫に
思わず惑わされもうした」

「ただの例え話しで
決して敵将に渡そう
などとは思っていなかった」

慌てて取り繕う男達を
光秀が薄く笑う

「政宗
それくらいにしておけ
白雪姫の御前だぞ」

「……ふん」

偉そうに顎をあげて
男達を見下ろすと音もなく
光忠を鞘に戻しにやりと笑う

「冗談だ…本気にするな」

喉元で感じた
明確な殺意は

政宗の冗談と言う言葉とは
あまりに不釣り合いで

男達は
背中に流れる汗を
冷たく感じながら

声を掛け制した光秀に
媚を売るように頭を下げた

光秀には鴨が葱を手に
すり寄ってきた様に見え
目を細めて笑み返す

これから光秀に
散々利用されるとも知らず

心強い味方を得たように
男達が正面を向き座り直した

面白そうに
高見からやり取りを
眺めていた信長が
政宗を呼びつける

「政宗これへ」

「はっ」

当然の様に白雪の隣に座すると
信長の低い声が広間に響く

「我が娘
白雪を伊達家当主
伊達政宗に嫁がせる」

政宗と白雪が
視線を合せ微笑み合う

「よって政宗は
この信長の息子となる」

最後の一言に
広間が響動めいた

小さな波紋が広がる様に
次第に大きくなり

波が立ったかのように
男達の表情が歪み荒れる

政宗の叔父や
母方の親類達も
その顔に驚嘆の表情を浮かべ
呆然とこちらを眺める

「政宗に刃を向けるは
この信長に仇なすと思え」

「はっ」

広間のざわめきが
信長の一言で描き消され
男達が頭を垂れる

信長はにやりと政宗に
笑みを向けて
悠然と広間を後にした

(信長様…敵わないな)

白雪が喜多に促され
信長に続き退出すると

堰を切ったように
男達が政宗に群がる

祝いの言葉を述べる者
取り入ろうと躍起になる者

今後の自分の立場を思い
各々が甘い言葉を口にする
当然叔父上の姿もあった

「政宗殿!そう言う事であれば
早々に祝いの品を届けさせよう」

「叔父殿…先日は失礼致した
その後姫はお変わりないか?」

「勿論変わりない…
そうだ政宗殿さえ良ければ
側室でも構わんのだよ
もとより許嫁であった訳だし」

米や金銭を
要求した事など
無かったかの様に
笑顔を張り付けすり寄ってくる
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