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イケメン戦国~捕らわれた心~

第12章 織田家の姫君


その性格が幸いしたのか
喜多が教える事を
きちんと習得し

すっかり
生まれついての
姫君のようだ

今日のお披露目で
織田家の姫として
紹介されたなら

如何程の男達が
白雪と織田家の力添え
欲しさに群がるだろうか

そんな風に
思いながら振り返ると
白雪は鏡の前で
髪を結う最中だった

鏡越しに視線が絡むと
白雪がぽっと頬を染め
はにかんで鏡を隠す

「なにしてる」

子供の様にあどけない仕草を
笑いながらからかうと

反して大人びた
口調で反論する

「女の舞台裏を
覗くのは規則違反なの」

「へぇ…楽しげな裏側だな」

艷っぽく笑い
背中へ歩み寄る

肩に両手を置いて
上から覗き込む

「手伝ってやるよ
舞台裏の仕事」

「ふふっ…だーめ」

唇が交差する
甘い吐息を味わっていると

喜多の足音が聞こえてくる
仕方なく唇を手放すと

直ぐ様に喜多の
昂然足る声が響く

「おはようございます
政宗様 白雪様」

「おはよう喜多」

政宗が襖を開けて
喜多を招き入れる

「おはようございます
喜多さ…喜多?」

「ふっ…なんで疑問調なんだよ」

「なっ慣れなくて」

「そんなんで一日
姫の振りしてられるのか」

からかうように笑い
鼻先を突つく

「朝から仲睦まじくて
よろしゅう御座いますね」

開け放たれた襖から
三成が笑顔をみせる

「おはようございます皆様」

「おはよう三成くん」

「おはようございます」

「おはよう三成…どうした?」

「はい…信長様よりお預りした
こちらをお届けにあがりました」

三成は手にした乱れ箱を
少し掲げて見せる

「まぁまぁ…ささこちらへ」

喜多が畳を空けて
招き入れる

三成が恐縮しならも
畳に座して乱れ箱を
白雪に差し出した

「信長様が
京より取り寄せた一品です
是非本日のお披露目にと」

「着物…ですか?」

白雪の細い指が帖紙を開くと
息をのみ感嘆の声を漏らした

「っ…すごい」

「これは見事な」

「流石 信長様が
贔屓にしてるだけある」

群青色を背景に
紫に藤色…白や碧色
瑠璃色の花が
刺繍や摺箔をつかって
施された贅を尽くした品

「…っこれ辻ケ花?」

「左様ですね」

「へぇ見て分かるのか?」

「勿論だよっ…って言っても
本物見るのは初めてだけどね
これ500年後なら博物館級だよ」
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