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イケメン戦国~捕らわれた心~

第12章 織田家の姫君


政宗は白雪を座らせて
落ち着かせる

喜多が
政宗に変わって肩を抱き
子供をあやす様に髪を撫でる

「ごめんなさいっ…私っ」

謝る白雪の唇に指を添え
言葉を遮る

「大丈夫……大丈夫ですよ」

喜多が切ないくらい
優しく微笑む

「入って来ると
思わなかったんだろ…気にするな」

政宗も穏やかに応えて
ゆっくり立ち上がった

「申し訳ありません
私がお側に付いていれば…」

「ううん…私が悪いの
ちゃんと返事をして
待ってもらうべきだった…」

落ち着きを取り戻し
冷静になった白雪に
胸を撫で下ろす

「少し話してくる…大丈夫か?」

政宗はどちらに
告げるともなく
振り返り秀吉を見た

「騒ぎをおこしちゃって
ごめんなさい……」

白雪の視線が政宗から
心配そうに見守っている
秀吉や三成達に移される

「大丈夫なのか?無理するなよ」

「今お茶をお持ち致しますね」

「三成…茶は女中に頼むから
お前も来い」

白雪と喜多を残して
政宗達が連れ立って
部屋を出ると

叫び声を聞きつけ
様子を窺う家臣らと出くわす

大事ないと告げると
やっと辺りに何時もの
静けさが戻った


人気のない部屋に
落ち着くと

待ちきれない秀吉が
口火を切る

「政宗…なにがあったんだ」

苦しげに顔を歪め
政宗が重い口を開く

「一人で城下に出て
……襲われた…」

「なっ…」

「殴る蹴るされて…
汚されそうになって…」

「自ら喉を突いた………」

突然三成の目前を
影が過ったかと思うと

ドフッ…………バサッ……

「っ…」

次の瞬間には
政宗が畳に倒れていた

「政宗様っ!」

三成が政宗を
庇うように間に入る

殴りかかった秀吉が
寸前で拳を止めた

「どけっ…」

秀吉が鬼の形相で
立ちはだかる

「秀吉様…どうか落ち着いて下さい
お二人のこのような姿
白雪様が悲しまれます」

そう言われ秀吉の
固く握られた拳が揺れる

「っ……」

「三成……いいんだ」

ゆっくりと身を起しながら
政宗が三成の肩を引く

政宗の端正な顔がみる間に
腫れ上り左頬が赤く染まる

裂けた唇の端に
赤い血が滲んだ


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