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イケメン戦国~捕らわれた心~

第12章 織田家の姫君


「政宗様……」

喜多の凛々しい瞳から
一筋の雫がこぼれ落ちた

「なんだ 鬼の目にも涙か」

政宗が笑う

「…埃でも入ったので
ございましょう」

喜多が泣きながら笑った






白雪の部屋まで
後少しという所まで来た時



「いやあぁぁぁ!」



白雪のつんざくような悲鳴に
政宗が弾かれた様に走り出す

「白雪っ!」

部屋に飛び込むと
蒼白な顔の白雪が
部屋の隅で震えている

その手には冴えざえと光る
刀が握られていた

瞳孔は開き
喘ぐように
肩で息をして……

「白雪!落ち着け」


「まさ……む……ね?」


開いた瞳孔に政宗を映す


「あぁ俺だ…分かるな?」


「政宗っ!」


その名を口にして正気に戻る


カシャンッ


畳に落として初めて
自分が錯乱し
刀を手にしたと気がつく

「っ…私っ…」

政宗が素早く近づき
その腕に抱き留める


「大丈夫だ…大丈夫」


部屋の入口で
呆然とする男

騒ぎを聞き付け
秀吉や三成も駆けつけた

男は我に返ると
慌てた様子で説明する

「わっ私は何もしておりませんっ
姫様への献上品をお届けに
お部屋を訪ねただけでっ」

「何故断りなく
部屋に立ち入ったのです」

喜多が鋭い口調で
男を咎める

「おっ…お声を掛けても
返事が無く……品物を
部屋に置いて失礼しようと」

「部屋にはいったら…
白雪とかち合った」

政宗の言葉に
首をぶんぶんと
縦に振って

「はいっ…名を名乗り
献上品を渡そうとした所…
突然来るなと叫び私の脇差を…」

「……姫は男嫌いだ
不用意に近付けば命を落とすぞ
分かったら二度と近づくな」

「はっ!大変失礼致しましたっ…」

畳に頭を擦り付けて謝ると
部屋を後にしようとする男
喜多が腕を掴み釘を刺す

「お待ちなさい…
この事は他言無用
分かりますね?」

有無を言わさぬ迫力に
黙って頷くとそそくさと部屋を出る

出た所で秀吉に捕まった

「献上品は全て
俺を通せと言った筈だがな」

ビクッと肩を震わせ
秀吉を泣きそうな目で見る

「帰って主に言っておけ
抜け駆けなど考えると
足元をすくわれるとな」

普段穏やかな秀吉に睨まれて
身の縮む思いで頷くと
バタバタと逃げる様に
帰って行った
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