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イケメン戦国~捕らわれた心~

第11章 意地悪な花婿


最初は誰の前でも構わず白雪に触れ
優しい表情を見せる政宗に

誰しも驚いたが この頃は
皆にこやかに見守っている

相も変わらず頬を染め
初々しい反応を示すのは
今では当の白雪くらいだった

喜多は
そんな白雪にゆっくりと
静かな声で話しだした

「私共は白雪様が
青葉においで下さった事
本当に感謝しているのですよ」

白雪に微笑みかける

「政宗様は
先代がお亡くなりに
なってからというもの
政務や戦に没頭して
まるで 生き急ぐ様に走り続けて…
妻も娶らず 子も持たず…

ですから安土より織田家縁の
姫君を許嫁として連れて
帰られたと聞いても
俄には信じられませんでした」

白雪はそう言われて
政宗と共に初めて
城に着いた時の
家臣達の騒ぎようを思い出す

政宗の“特別”を感じ
幸福に胸を踊らせたあの時…


「今こうして
政宗様の白雪様を見つめる
穏やかなお顔を拝見すれば…
政宗様にとっての安息の地は
白雪様なのだと分かります」

「…そう…で…しょうか
そうなら嬉しいです
微力でも政宗の役に立てたら…」

「どんな時も お側にいる事が
何よりのお力添えとなりましょう」

「っ…はい!たとえ
政宗が逃げても
追いかけて捕まえます!
絶対に側を離れません!」

「まぁ!……っふ ふふっ」

「私 脚は早いんですよ?」

「白雪様…ふふっ」

「ふふっ……」

穏やかな風を感じながら
他の女中達も交えて
他愛のない話に花をさかせ
時を忘れて楽しんだ

城下での暴行の一件以来
こんなに笑ったのは久々だった

あれ以降
男性と二人になると
たとえそれが医者であっても
ガタガタと震え
触れられれば嘔吐した

少しずつ
恐怖心を克服し何とか
会話を出来るまでに
なりつつあるが

殴られ襲われた恐怖
死をも覚悟した恐怖は
そう簡単に閉じ込められる
物ではなかった

そんな白雪を想い
政宗は白雪の回りを
女達で固めている

隣にいるだけで
安心出来るのは政宗
ただ一人

白雪にとっての
安息の地は政宗に
他ならなかった

だからこそ
喜多の言うように

政宗にとって自分が
そうであったらと
思わずに居られない

お互いが支え合えたならと
願わずには居られない白雪だった









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