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イケメン戦国~捕らわれた心~

第11章 意地悪な花婿


「お帰りなさいませ」

喜多と白雪が声を揃えて
取り澄ました言い方をするので
政宗も偉そうに応える

「うむ 今戻った白雪 近う寄れ」

白雪が可笑しそうに笑う

「で…何話してたんだ?」

「今ね 政宗の小さい頃の話し
聞かせて貰ってたの」

(それで難しい顔してたのか…
病か母上のことでも考えてたな)

「そんな話 聞いて楽しいか?」

「うん!すっごく!」

満面の笑みで即答され
何も言えなくなる

「ったく 」

くすぐったい気持ちに
思わず顔を背けた

「あっ 照れてる?」

「…照れてねぇ」

喜多が声をたてて笑った

「政宗様のそんな表情を
見たのは子供頃以来ですね」

「……うるせぇ」

仄かに耳を染める政宗に
二人は顔を見合わせて笑う

「で 何を聞いたんだ?」

「いろいろ」

「答えになってない」

また顔を見合わせて
笑い合う二人

いつの間にか仲良さげな
様子の二人に 少し驚く

「すっかり打ち解けたな」

「ふふっ 政宗で繋がってるし」

「俺で繋る?…ははっ相変わらず
面白いこと言うな お前」

「そうかな?」

ふにゃりと笑ったかと思うと
今度は 真剣な表情で政宗を覗き込む

「政宗は病気になった事で
右目を失ったけれど…
その代わり
どんな困難も前進する力に
変えれる強さを得たんだね」

「突然どうした…さては
右目を取った時の話し 聞いたな?」

「うん…よかったなって思って」

「ははっ…まるで右目を失って
良かったみたいな言い方だな」

「そうかも……
もし右目を失わなかったら
今の政宗と同じ物の見方は
出来なかったでしょう?
見えない分…他の人には分からない
繊細な事まで分かるんじゃない?」

政宗の左目をじっと見つめて
花咲くように笑う

「だから今の
優しくて強い政宗になれたんだね」

「っ…」

確かに 見えない分
他者よりも優れていると
自覚のある感覚も
いくつかある

それを白雪に
指摘されるとは
思っていなかったが…

照れくささを誤魔化す様に
白雪の頬を摘まむ

「いひゃいぃ~」

「不意打ちで
口説くなって言っただろ」

いつのまにか
茶の用意を整えた女中や
鷹狩りを共にした家臣らが

少し離れた所でにこにこと
そんな様子を微笑ましく見ていた

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