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イケメン戦国~捕らわれた心~

第11章 意地悪な花婿


「そうですねぇ
卑屈で…扱いにくい所も
多々ございましたね」

二人は
庭に面した広縁に腰を降ろし
ゆっくりとした時間を楽しむ

喜多は古い記憶を辿り
白雪との約束を果たしてくれる

「いつも他人の顔色を窺って……
見目も悪かったですからね……
右目の光を失って
子供らしい朗らかさも
失っていたのかも知れません」

そう言うと悲しい顔をした

「…政宗からも聞きました…
見えない右目に
振り回されるのが嫌で
小十郎さんに 取って貰ったと」

「えぇ…あの時は驚きましたけど
結果 政宗様は嘘の様に明るくなられて…」

「明るく…」

(眼を取るなんて凄く怖かった筈なのに…
乗り越えたって事なのかな…強いなぁ政宗)

「ええ なんだかふっ切れた様に」

「それからの政宗様は
本当に怖いものなしで…
小十郎が十ばかり上な事もあって
生意気な事をしては二人して
私や旦那様を怒らせておりました」

「ふふっ 何だか想像出来ます」

得意気な顔で笑う小さな政宗を
想像するとなんだか笑みが溢れた

「そもそも聡明なお子様でしたから
何をさせても そつがなくて…
そういった面では 手が掛からない分
可愛げなく映ったのかも知れません……
いつもお一人で…」

喜多は
少し切なげに思いを馳せる

敢えて口にはしなかったが
政宗の母の事を
指しているのだろう

自分の子が可愛くないなんて
白雪は理解が出来ない

ましてや病に苦しみ
視力を半分失った我が子を
突き放す様な……

暗い顔になる白雪の手を
喜多の手がそっと包み込む

「きっと保春院様も
お考えあっての事…
いつか雪解けを迎えましょう」

「…そうだと…いいですね…」

「あのっ」

「はい?」

「そんなに顔に出てました?」

「えぇ…まぁ」

返事をして 朗らかに笑う喜多
白雪は頬に手を添え
首を傾げる

(政宗といい 喜多といいどうして
考えてる事 見抜かれちゃうのかな…)

「何難しい顔してんだ?」

愛しい声に顔をあげると
鷹を連れた政宗が庭の奥から
向かってくる

今朝早くから 家臣ら大勢を伴って
鷹狩りへ出掛けていた政宗

「政宗!」

白雪が笑顔で迎えると
政宗は後から追ってきた
鷹匠に鷹を預け
二人の隣に座った
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