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イケメン戦国~捕らわれた心~

第10章 お前に夢中~愛の檻~


背中を流れる
冷たい汗に目が覚める

微かに震える手を 握りしめた

「夢か……」



白雪が襲われ時
正気を失った

白い躯に
薄汚い手が触れるのを
目にした時の

禍々しい殺意

父上を 敵将ごと射ち抜いた時も
母上に 毒を盛られた時も
母上の一族を 従属させんが為
弟の命を犠牲にした時も

涙こそ流したが
狂気に身を
委ねる事はなかった

冷静さを失い
刀を振えば
多くの命を脅かす

判断が鈍れば
敗戦の脅威となる

家名を守り
民を守り
豊かな国を
創り守るべき立場の自分が
己をなくすなど…

あってはならない事

今までなら
二度と無いと言いきれた

だが…もしまた白雪が
身体や 心を
傷つけられる事が
あったなら…

冷静でいられる
自信がない

そんな自分が
恐ろしい

本心を言えば
閨に閉じ込めて
褥に縫い止めて

誰にも見せず 合わせず
宝のように愛でていたい

みっともない程 溺れている
自覚がある分 苦しい

何も知らず 花咲く様に笑う
その姿が 恨めしい

護りたい
この世の全てから

俺だけを見つめて
微笑んでいられるように

お前を失う
恐怖に己を失わないように

もっともっと強くなる
お前の為に何よりも
強くなる


だから…
お前は俺を愛せ
俺に溺れろ

美しい唇から紡がれる
言葉の全てを
自分に捧げさせて

澄んだ瞳に
自分だけを写して
心の中まで 俺色に染めて

躯の奥に
この身の破片を注ぎ入れ
躯の中から 俺色に染める

お前の躯を流れる
赤い血は どれ程甘いのか

その一滴すら
俺に差し出すと誓わせたい

留まることを知らない
己の欲望に 溜息が出る

この狂った心情を知ったら
お前は どんな顔をするのだろうか

狂気を孕んだこの愛を
否定された時

自分が何をするのか
想像すると吐気がした

手に入らなければ
きっと俺は…

知らなかった自分の一面に
肌が粟立つ

その花を自分のものに
出来ないのないのなら
散らして仕舞えばいい

どれだけ抱いても
どれ程愛しても
まだ愛し足りない



愛しすぎて 苦しい



愛しさで 窒息しそうだ




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