第10章 お前に夢中~愛の檻~
政宗の鼓動と匂いに
次第に落ち着きを取り戻す
「大丈夫だ」
優しく髪を撫でると
ほっとした表情で頷く白雪
「で?何が困るって?」
片眉を上げて
意地悪な顔で聞けば
「好き過ぎて
逢えない時間が辛くなる
寂しくなっちゃうから…困るの」
胸元を掴んで
俺の眼を覗き込む
どうしたらいい?
熱に揺れるこの身の置場に
困り果て
結局は押し倒す
「全くお前は…悪い子だな
俺を煽ってばかりいる…」
昼となく 夜となく
何度も求める自分を
白雪は呆れていないか
お前が悪いと責めながら
嫌われるのが怖い
弱虫な自分を嘲りながら
それでもいいかと笑う
嫌われたら……
また好きにさせればいい
畳に組み敷いた白雪に
離れるな いつまでも側で
俺を煽れと命じて
今夜もまた
めちゃめちゃに白雪を抱く
政宗の指に乱れていく
白雪の耳には
もう雨音も雷鳴も
聞こえてこない
愛しい男の 愛を囁く声だけが
白雪の耳に甘く響く