第5章 座学
[ミサキside]
訓練所には立体起動装置の適正試験をクリアした者を置いて、出来なかった人達は「開拓地」と言われるところへ帰って行った。
いや……
適正試験に合格した人の中にも、開拓地行きを志願する人はいて、今訓練所にいるのは、本当に兵団所属を願う人のみとなってしまった。
この世界の事がまるで分からない私にとって、ここにいる事と、開拓地にいる事、どちらがいいのかは分からないけど、初めて繋がりが出来た、ジャンやミカサと一緒にいれる今の環境から離たいなんて、微塵も思わなかった。
初めて出来た友達だから……
この繋がりだけは、絶対に失いたくない。
今日は、この世界の歴史や巨人の生態についての講義らしく、教官が文献や黒板を使いながらの説明だと、前以てジャンが教えてくれた。
文献、と聞いて、イヤな予感はしていた。
そして、その予感は当たっていて、当たり前だけど、この世界の文字が私には読めない。
英語でもハングルでもない文字の羅列。
英語やハングルが分かるかと聞かれて、そりゃまぁ……
分かるわけないんだけど……。
変な焦燥感に駆られてしまう。
きっと、座学では他の人にどんどん置いていかれてしまうだろう。