第4章 適正試験
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「よう。昨日はよく寝れたか?」
翌朝、兵舎を出て、ミカサと訓練所に行く途中、ジャンに声を掛けられた。
隣には昨日少しだけ会話をしたコニーと、知らないソバカスの男の子。
『眠れた、って言いたいけど、ちょっと緊張しちゃって……。あんまり眠れてないかな。』
そう苦笑する私にコニーが近付き肩を叩く。
「大丈夫だ!ミサキに万が一の事があったら俺が何とかしてやるよ!」
何故か胸を張るコニー。
そして、その光景を見て、呆れ顔のジャン。
「おい!テメー何調子に乗ってんだ!」
私の肩に回されたコニーの腕を、ジャンが引き剥がした。
『あの……その人は?』
ソバカスの人を見てそう言うと、ジャンはチラリと視線を向ける。
「こいつはマルコ・ボット。俺のベッドの上の奴なんだ。」
「ジャンとコニーから少し話しは聞いてるよ。ミサキ・サカシタだよね?よろしく。」
ジャンの紹介に、マルコは柔らかく笑い、私に手を差し出した。
握手する行為は、昨日コニーで学んだから、今回は戸惑う事なく私はその手を握る。
『こちらこそよろしくね。こっちはミカサ、同じ部屋なの』
隣にいるミカサに視線を移すと、ミカサはあまり関心がなさそうに遠くを見ていた。
「よろしく。ミサキ、あっちの方にいるから何かあったら来て。」
短く挨拶をし、指差した方に歩いて行くミカサ。
ミカサが歩いて行った先には、金髪の男の子と少しキツい目付きの黒髪の男の子。
彼等が、昨日ミカサが言っていた家族と幼馴染みなのだろうとぼんやり思う。
「俺らも急がねぇと。」
頭に、クシャリ。手を置かれ、顔を上げたら、ジャンは人が歩く方を見ていた。
ジャンの言葉に頷き、後ろに続いて広場に出ると、教官の周りに人集りが出来ていた。