第5章 rival
こいつ今まで、どんな付き合い方してきたんだ?
こんな些細なことで、こんなに可愛い反応するって…
「あのさ、お前今まで付き合った人いるよな?」
「……一応いますけど…」
なんだ?今の間は…
「一応ってなに?」
「…長続きしないんです…長くても1ヶ月とかで俺フラれるんです…」
「なんで?」
「分かりません…でも雅紀に相談したら笑われました…『翔ちゃんはそのままでいいよ』って」
相葉が笑った?話からして櫻井に原因がありそうだけど…笑われるような原因ってなんだ?
「変なこと聞いていいか?」
「いいですよ?過去のことですし…」
「『別れよ』って言われる時、何か他に言われる?」
「だいたいは『私のこと好きじゃないんだ』か『翔ってつまらない』のどちらかですけど…」
好きじゃない?つまらない?
「あのさ、自分から告白した人いる?」
「……いません」
「好きになった人、いなかったの?」
そう言うと小さな声で
「……さとくん」
って呟いた……は?まさかこいつ『さとくん』以外好きになった人いないのか?
「他には?」
「……智さん…」
顔を紅くして恥ずかしそうに言う。
マジかー!まさかこいつ…
「また変なこと聞いていい?」
「なんですか?」
「付き合った人って女?それとも男?」
「女性だけです…」
「どこまでいった?」
「どこまで?皆すぐ別れたので、近場の公園とかですね」
いたって真面目に答える櫻井…やっぱりこいつまだ…
でもさすがにキスくらいは…
「まさかと思うけど、櫻井ってキスしたことあるよな?」
櫻井は顔を真っ赤にして頷いた…でもキスの経験聞いただけでこんなに顔を紅くするなんて…
あ~でも良かった…キスの経験あるなら、キスはしても大丈夫だな…
「ごめんな?変なこと色々聞いて」
「いえ…でもなんで俺がすぐフラれるか分かりましたか?」
分かったよ…今時キスまでしか進まない関係なんて、気持ちを疑われてもしょうがないし、つまらないって言われるのも納得だ。
でも相葉が言ったように、櫻井は『そのまま』で良かったんだ…
気持ちを伴わない肉体関係は、こいつには出来なかったんだろう…っていうか望まなかったから、そこまでいってないんだろうし…