第33章 シルキー
キツく抱き合いながら乱れた呼吸を整えた。
「はぁ、はぁ…大、丈夫?翔…」
俺の腕の中で小さく頷くのを感じた。
俺は身体を反転させ翔を胸の上に抱いた。
「重く、ない…?」
力が抜けきった翔の身体、重くないと言えば嘘だけどそれでも心地よさの方が勝るからぎゅっと抱きしめた。
「少し重い…でも気持ち良いからこのままいて?」
「智ってほんと正直…こういうときって嘘でも『重くない』って言うよね」
「駄目だった?」
「ううん…全然駄目じゃない。そんなところが好き…」
手のひらで俺の胸に触れ愛しそうに頬を寄せる翔。
手を伸ばしもう片方の頬を撫でた。
「翔ってどこもかしこも気持ちいいんだね…触る癒しグッズみたい」
「ふふっ…智専用のだけどね…」
「そうでなきゃ困る。俺以外の人に触れさせないで…こんなに気持ちいいのがバレたら皆に狙われる」
「智くらいだよ?『触ってみてください』って言って俺に触ってきたの」
「ははっ、そうだよな。今思い出しても恥ずかしいわ」
「でも、そのおかげで俺は智のこと好きになったんだけどね」
「えっ?そうなの?」
ちょっと意外な理由…あんなんで好きになって貰えた?
「そうだよ?智に触れられた瞬間身体に電気が走った…智の手があまりにも優しかったからドキドキが止まらなくて…
意識しないようにしなくちゃって思ったのにその後も智が『信じる』とかドキドキするようなことばかり言うんだもん…意識するなって方が無理だよ」
はにかむ翔が可愛くて俺はまた身体を反転させ翔を下に組み敷いた。