第30章 年下のオトコノコ♪
智くんを連れて我が家へ。玄関を開けて智くんを招き入れた。
「お邪魔します…」
「どうぞ、狭いし面白いものなんて何もないけど」
部屋の中をキョロキョロと見回す智くん。
「独り暮らしだよね?」
隣に立つ俺のことを見上げ確認する。
「うん、そうだよ?」
「部屋、綺麗にしてるんだ…彼女さんが掃除してくれるの?」
「ははっ、そんなのいないよ…智くんが来るって言うから自分で掃除したの」
「そ、か…よかった…」
ホッとしたような呟く声が聞こえた。
「ん?何がよかったの?」
「翔ちゃんに彼女がいなくてよかったなって…」
頬を染めながら視線を外し恥ずかしそうに言う智くん。
それって…俺、希望持っていい?
「あ、とりあえずその辺座って?飲み物入れてくるから」
「うん…」
冷蔵庫からペットボトルのアイスコーヒーを出しグラスに注ぐ。牛乳を多目に入れるのが俺のいつもの飲み方。
「お待たせ、アイスコーヒーで大丈夫?家じゃフラペチーノは用意できないから」
「うん、大丈夫」
「フラペチーノはないけどその分スイーツ用意しといたから」
「え、うわぁ!ありがと、美味しそぉ」
テーブルの上にコーヒーと一緒にロールケーキを置いた。
「会社の女子に美味しいスイーツない?って聞いたらこれ紹介されたんだ」
「わざわざ聞いてくれたの?」
「うん。だって俺スイーツ詳しくないし…せっかくなら美味しい物食べさせたいから」
「ありがと」
キラキラと目を輝かせる智くん。よっぽど好きなんだなスイーツ…こんなに感動してくれるなんて。
「好きなんだね?」
「えっ⁉」
智くんが驚いたように声をあげた。あれ?俺なんか変なこと聞いた?